第五話 事前準備やステータス確認を行う模様です。


 はい。という訳で買ってきました。ショートソード+ウッドシールド!

 合計でなんと7千ルナもしました~。高いw


 まあ、それは置いておきまして。

 次に向かうのは武具店の前の防具店……ではなく、隣の道具屋だ。当然防具も欲しいのだけれど些か所持金が心許ないので先に必需品を買い集めておく事にしたのだ。それにここまでリアルだと性能だけでなく見た目も悪くない防具が欲しいし。性能も大事ですけれど見栄えも大事だと思うのです。

 そんな訳で防具類は後回しにまずは必需品を手に入れるところから始めましょう。


 店内を物色しながら必要そうなものを見定めていく。

 ……手袋、ランプ、ピッケル。最低でもこの3つは欲しい。でも合計で4,800ルナもするようで現所持金では全てを買いそろえる事は出来そうにない。仕方ない。ホントに渋々ですけどもランプは諦めますか……。

 ランプ一つで3,000ルナなので残り二つを買うと1,800ルナ。現所持金は4,000ルナなのでもう少しだけ何か買えますね。……ああ、そうだ。このロープを買っておきますか。割としっかりしてますし10m程の長さで今の背負い袋にも入れられる大きさ。でも……しかし、やっぱり嵩張るので無しですね。


 その後も色々見て回ったが、結局手袋とピッケルを購入するだけに留めた。やっぱり嵩張るというのが問題だったのだ。お金を稼ぐにはどうしてもドロップアイテムを持って帰って売らなければいけない訳で、大荷物を持って動けばそれだけ行動も遅くなるし、ドロップが貯まる度に逐一街に戻らなければいけなくなるので、逆に不便になりそうだったのだ。

 見た目以上の収納量を誇るマジックバックなどの特別なアイテムもあるみたいなので、それを手に入れるまでは常備品は少なめで行こうと思う。お金を貯めておけばいつかそのお金でマジックバックを買うことが出来るようになるかもしれませんしね。


 そんな風に考えをまとめていると装備類が多く売られている通りから街の中央を一直線に走る大通りに出た。言葉のように一言で済むほどあっさり出られたら良かったのだが、プレイヤー達が装備を求めて先程の通りに向かおうとするので逆走する私は大通りに出るまでは一苦労だった。


 そんな訳で一苦労の末大通りに出た訳だが、ある程度の準備も済んだのでそろそろ狩りに向かおうと思う。始まりの町<イデア>から向かう事ができる主な狩場は森だ。

 始まりの町<イデア>は東西南北を森に囲まれた街で、四方の森を抜けた先には多種多様な地形が待ち受けている。東に向かえば天を貫く山脈があり、西に向かえば広大な海があり、南に向かえば果てなき砂漠があり、北に向かえば凍てつく凍土が待ち受けているらしい。


 そんな中でプレイヤーの多くが向かうのは北か南らしい。その理由は東の山を越えた先にこの国の王都があるからだ。β時代に最前線の廃人軍団が東の天山越えをしようとしてフロストドラゴンと遭遇し、あっさり全滅したために序盤は北か南から山を大きく回り込んで避けることが推奨されているらしい。

 もっとも今から行く<イデア>周辺の森は何れも変わらないレベル帯だそうなのであまり気にする問題ではないかな?

 ちなみに多くのプレイヤーが王都を目指すのは王都に職業を上位職に上げるための神殿が存在するからだそう。上位種族化の方は条件さえ満たせばどこでも起こるそうだ。


 さてと、それらの情報を加味して私が今日行くのは東だ。

 なんでだよ!とツッコまれそうなものだが理由はしっかりと二つあって。単純に東西は人が少なそうだからという理由。もう一つは鍛冶師として使う鉱石を採掘しようと思うと如何しても東の山に行かざるをえないのだ。それによくよく調べてみると山の麓も街があるようで、つまるところ山越えを狙わなければフロストドラゴンに襲われないのではないかと推測している。判定基準は標高かな?


 考え事をしていたら東の門付近まで来たようだ。

 出る前にステータスと装備の最終チェックをしようと思う。




【<駆け出し鍛冶師>キアラ・ハイト】プレイヤー

レベル:1

属性:闇

職業:鍛冶師 LV.1

種族:人間

『ステータス』

STR:2

INT:20

VIT:1

DEX:5

AGI:5

LUC:3

残りステータスポイント:0

残りスキルポイント:5

『スキル』

・鍛冶 LV.1

 Ⅼ鉱物精練 LV.1

・鑑定 LV.1

 Ⅼ品評 LV.1

・投擲 LV.1

 Ⅼ的当て LV.1

・魔力制御 LV.1

 Ⅼ魔力操作 LV.1

・付与魔法 LV.1

 Ⅼ魔力付与 LV.1

・妨害魔法 LV.1

 Ⅼ煙幕 LV.1

・連鎖術 LV.1

 Ⅼ鎖操作 LV.1


『所持品』

・背負い袋×1

・水袋×1

・レーション(1食分)×3

・ローブ(茶)×1

・小銭入れ(銀貨1枚、銅貨10枚)×1

・初心者支援セット×1

・ピッケル




 更にここからステータスの詳細ステータスを開く。




『ステータス詳細』

プレイヤー名:キアラ・ハイト

セット称号:<駆け出し鍛冶師>

HP:118/118

MP:486/486

ST:128/135

属性:闇

職業;鍛冶師

装備:「上衣:駆け出しの服」

   「下衣:駆け出しのズボン」

   「腰:駆け出しのベルト、ショートソード、解体ナイフ」

   「手:白手袋、ウッドシールド」

能力値:「ATK:15」「MATK:45」「DEF:7」「MDEF:43」「SPD:17」「LUCK:3」

空腹度:98/101

渇水度:98/101


 『ステータス詳細』は文字通りステータスの詳細で、純粋な行動時の能力値をステータスから算出してくれる。AさんとBさんがいて同じSTR値だったとしてもATKが高い方が火力が出る。それどころかSTRの値で負けていてもATKが超えていればそちらの方が火力として優秀なのだ。

 差がつく要因としては別種の関連ステータス、装備の性能、そして職業の三つがある。


 まず関連ステータスはATKを例にするとAGIやDEXの事。筋力的な威力は純粋なSTRによって決まるが武器をふるう速度(AGI)が乗れば当然威力は増すし、技量(DEX)があれば敵の柔らかい部分を狙い打ったり力を上手く伝えたりできるだろう。そういったことからAGIやDEXなどの値を上げた場合でもパラメーターが上昇する事があるのだ。


 次に装備の性能。こちらは文字通りで、武器を装備すればATKやMATKが防具を付ければDEFやMDEFがあがるというもの。ただ一点注意する点がありまして、それが重装備などを装備した時に起こるSPDのペナルティ。当然のように重い物を持てばSPDが減少して反映されるというもので結局私が道具屋で何も買わなかった理由ですね。


 そして最後は職種による能力値の上昇値の違い。これは少し複雑で職業毎に別の上昇値が設定されているというもの。より分かりやすく例を挙げれば剣士と魔法使いが各々STRに1割り振った時、剣士のATKは3上がるが魔法使いのATKは1しか上がらないといった職業毎の適性のようなものがあるのだ。それの所為でSTR3の剣士とSTR7の魔法使いがいた場合より力が強いのはSTR3の剣士という少し残酷な結果が出てしまう訳ですね。


 そう言った理由から、『ステータス』のより純粋な値が『能力値パラメーター』となっている訳なので戦闘力の参考にするときはこちらを確認する方がいい訳だ。最も当然ながらパラメーターが上回っていても相手のリアルスキルやらプレイヤースキルなどであっさり押し負ける場合もあるのですけどね。

 まあそういった相手への対処法は出会ったその時に行う事にしましょう。


 門前で門番にギルドカードの提示を求められるのでポケットから出す準備をしておく。


「身分証の提示を」


 門番にギルドカードを手渡す。門番はギルドカードを一通り眺めた後、ギルドカードを私に返してきた。


「閉門は午後20時だ。それ以降に戻ってきた場合は入街税で銀貨1枚支払ってもらう。もし支払えない場合は朝5時の開門まで門前で野宿してもらう事になる。分かったな?」

「はい」

「通ってよし」


 武器を構えた門番が両サイドに立つ小門をくぐり抜ける。

 くぐる途中にゲーム内時間を確認すると現時刻は16時過ぎ、外にいられる時間は残り約4時間というところのよう。初日から野宿は勘弁してほしいところですし、しっかり余裕もって帰還しないとですね。


 町の外に出ると見える範囲一面平原だった。その奥にポツポツと生える木のようなものが見える。……これは想像以上に移動が大変かもしれないですねぇ……。

 何故だろう早くもげっそりしてきた。街中を歩いていた時から薄々気づいていたがこの世界、私の思い描いていたものよりも途轍もなく広いようです。この平原が話題に出てこないくらい森は広いのかー……。


 ……さてと。感傷に浸るのはこのくらいにしておいて森を目指すとしますか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る