第一話 キャラクターメイキングを行う模様です。 1
「ようやくこの時が来たか……」
ここまで長かった……。
最初のVRギアを買うところまではよかったんだ。けど、だ。
『ソフト予約分完売済みってなんだよそれッ!!』
今でも思い出せるあの時の絶望感。周辺のゲーム屋を回っても何処もすでに予約分は完売、完売、完売、完売しましたって!!どんだけ人気なんだよ!
仕方ないので懸賞のついている雑誌やら食品などを買い漁って応募するもすべて空振り。……あー、あの時はほんとに終わったと思ったわぁ。
あれから持ってそうな知り合いに片っ端から当たって全滅。ソフトが売られてないかとショッピングサイトを見て回った時にはすでに遅しとばかりに売り切れか、転バイヤー共によって無駄に高額に引き上げられたあとだったりという結果で残念せざる負えなくなった。というか希望販売価格の62倍とか頭沸いてんじゃないの!?
でだ。それを例のMMOのギルメンに愚痴っていると――
『kanon:あ、グリム・ファンタジアなら私βテスターだから持ってるよ(`・∀・´)ノ』
『(´・ω・`):同じく(`・∀・´)ノ』
『キアラ=ハイト:貴様らぁぁアアアア!私を差し置いてぇ!!』
という事があったのだ。いやまぁ、ここだけ見ているとただ煽られるているだけなのだが、この会話には続きがある。ちなみに俺がキアラ=ハイトだ。
『(´・ω・`):ちなみにお人形ちゃんも持っとるで~www』
『キアラ=ハイト:そんな……皆さん酷い……よょょ.....』
『Coppelia:えと、キアラさん。私、テスター貢献度高かったので2台持ってるんですけど……その』
『キアラ=ハイト:ください』
『Coppelia:いりますか?早いw』
『(´・ω・`):ガチやな( ゜Д゜)ハヤィ』
という事があり、コッペリアちゃんから譲ってもらったのだ!コッペリアちゃんありがとう!マジ感謝っす!!
その後はSNSで俺の住所をDMでコッペリアちゃんに送り付け、着払いでソフトを配達してもらったのだ。そして、そろそろ届く時間なんだが……
――ピンポ~ン♪
「は~い」
財布と判子を持って俺は玄関に駆け出した。
玄関には商品を持った女性が立っていた。女性の配達員か珍しいな。
「どぞ。あの、着払いになってますので……」
「っし。ありがとうございます!えっと、ココに……よし、と」
俺はコッペリアちゃんから聞いていた代金を支払い商品を受け取る。
「これ、判子お願いします……」
「はいはい。これで」
「オケです。ありがとうございました」
俺は配達員の人を見送るとすぐさま自室に閉じこもる。
さて、さて、届きましたよ~。取り敢えず、コッペリアちゃんに到着とお礼のDM送って~。
さぁ、いざキャラクリじゃああああああ!!!
ちなみに正式サービス開始は
まあ、そんなことよりも俺のキャラをさっさと設定してしまおうじゃないか。
俺はソフトを箱から取り出すとVRギアの側頭部のカバーを外してにそこに差し込む。
すると自動的にVRギアが起動しディスプレイに『インストール中』の文字が表示される。その下に空白のバーが表示され、1%....2%....と増えていきすぐに100%となり、『ダウンロード完了しました』と表示された。
「さてと……やろうか」
俺はベッドに横になった。VRギアの使用中は緊急切断でもしない限り体を動かせないからだ。
カーテンを閉め、近くに水を置き、完全体制になった俺は薄く笑いながらVRギアの電源を入れ直し、『グリム・ファンタジア』のソフトを起動した。
「これが、フルダイブ型VRか。聞いてはいたけど想像以上に違和感ないな」
寝ころんだ態勢から体を起こした俺は軽く体を動かしてみる。
最初は手を握り、開くを繰り返して感覚を馴らし、次に完全に手の感覚を掌握した感覚をつかんだら。手をついて立ち上がってみる。
うん、ふらつくことなく立てた。問題なさそうだな。
さてと、設定を始めますかね。
そう意識すると手元にウィンドウが開いた。
「ようこそ、ここではキャラクターの初期設定を行うことが可能です、か」
俺は次へを押す。
ウィンドウが表示された。
「まず初めに貴方の名前を教えてください、か。キアラ・ハイトっと」
キアラ=ハイトの繋ぎが『=』じゃなく『・』でキアラ・ハイトなのは単純に事前調べでこのゲームの名と家名の間が点だと知っていたからだ。こういう事は基本的にゲームの設定に合わせる事としている。
よし、次。
「次に貴方の属性を設定しましょう」
ウィンドウに出てきた選択肢は6つ。
・火属性
・水属性
・風属性
・土属性
・闇属性
・光属性
の6つだ。もっとも、これらは事前にベータ軍団からチャットで聞いて知っていたので、さして迷うことなく俺はその属性を選択する。
・闇属性……支援系の魔法と相性が良く。中でもデバフが得意。逆に攻撃系の魔法とはあまり相性が良くない。他にも吸収。隠蔽系のスキルと相性がいい。他属性と比べて成長が遅い。光属性との相性が非常に悪い。
得意魔法:
苦手魔法:
他属性との相性:与:火=120%、水=120%、風=120%、土=120%、闇=50%、光=50%
被:火=80%、水=80%、風=80%、土=80%、闇=50%、光=200%
このゲーム、少し変わっていてプレイヤーにも属性が設定されているのだ。
そして、使う魔法は属性によって性質を変えるらしい。例えば妨害魔法のスキルをとった場合、闇属性だと初めに覚えるのは
で、得意魔法、苦手魔法というのは属性と相性の良い魔法か悪い魔法かという事らしい。例を挙げると、闇属性では攻撃魔法は苦手魔法として扱われている。攻撃魔法の初期魔法は全て○○ボールらしいのだが、それに当てはめると闇属性だとダークボールになる。土だとサンドボールになるらしい。普通に考えて闇というよくわからない物質と物理的な土の塊どっちが痛いかなど明白だろう。まあ、そのように得意魔法、苦手魔法というのは向き不向きを現した指標の一つらしい。
そして最後の属性相性だが、これは単純で『与』が火、水、風、土に対して120%、闇、光に対して50%のダメージが与えられますよという事で、『被』が火、水、風、土からの攻撃に対して80%、闇からの攻撃に対して50%、光からの攻撃に対して200%のダメージを被りますよという事らしい。
俺が選んだ闇属性は火、水、風、土の四属性に対し若干有利になるが、光属性に対し極端に弱くなるというものだ。逆に光属性は他四属性から多少不利になるが、闇属性に対し極端な有利を得ることができる属性だ。
光にするか闇にするか非常に悩んだのだが今回は闇属性を選択した。決めたのはこれからのプレイ方針を決めた故だ。まあ、進めていけば俺のしたい事はわかるだろう。
はい、次。
「貴方の
あいうえお順で表示されるかなりの量の職業からお目当てのものを探す。
「か、か、か……あった。『鍛冶師』っと」
鍛冶師。武器を作るのに特化した職業だ。だが、俺が注目したのはそこではない。
鍛冶師は武器を作るのが本文だ。そして、唯一ではないが武器の制限がない職業である。俺が注目したのはここだ。武器の制限がない職業は他に『見習い』、『道化師』があるが、やはり自分オリジナルの用途専門武器が作れる鍛冶師のほうがいい。専属鍛冶師か何かがいれば道化師がしたいんだけどね。ホントは。ただ、鍛冶師だからこそのメリットは他にもあるので、もしかしたら専属鍛冶師を得られる状況でも鍛冶師を選んでいたかもしれない。
ちなみに、ベータで鍛冶師をしていたというギルメンはゼロだった。他の半引退ゲーも回ってみたが無し。そんな理由もあり自分ですることにしたのだ。
んな訳で次。
「スキル一覧からスキルを5つ設定してください」
スキル一覧が表示される。結構多いな……
実はまだ取りたいスキルが絞り込めてないのだ。内3つはもう決めてるんだけどな。
取り敢えずその3つを設定してしまおう。
「えーと、付与魔法に……妨害魔法……魔力制御」
まさかの魔法系3つである。鍛冶師なのに。
あ、ちなみに『鍛冶』のスキルは鍛冶師の職に就いた時に自動で取得しているので実質覚えられる初期スキルは選択スキル5つ+職業スキルで6つだな。
さてと、残り2つの候補だが『鑑定』『工作』『採掘』『投擲』の4つだ。
説明すると、『鑑定』は物や人の詳細を知ることができるスキルで、『工作』は小物などを作るスキルだ。鞘なんかを作るために取りたいと思っている。『採掘』は採掘に補正がつくスキルで、育てればどこに鉱石があるかなどもわかる様になるらしい。最後に『投擲』は物を投げるのに補正がかかるスキルだそう。投げたものが早くなったり、遠くに飛ばせたりする補正が入るらしい。
どれも魅力的なスキルで非常に迷ってしまう。いずれは全て取りたいと思っているが初期に持っていると有利なのは……『鑑定』かな?
「鑑定、鑑定……あ。あった」
ふむ、後の3つで取得が難しいのは……うん、どれも比較的簡単な部類だな。『工作』は小物をいくつか作れば取得可能になるだろうし、『採掘』も鉱石を掘ってたら自然と取得可能になってんだろ。あとは『投擲』だが……うん、もの投げてりゃ取得可能になるな。
どれも比較的簡単で悩むな。うーむ、こうなるとレベル上げと素材確保の面を考えて『投擲』かなぁ。
「それじゃ投擲っと。はい、完了」
さあ、次の設定項目はなんだ?
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