グリム・ファンタジア(仮題)

雪桜兎

第零話 プロローグを開始しました。

 朝、起きて。眠気が抜けず重い体で俺は学校に向かう。

 昼、失礼な話だが大して美味しくもない母親お手製の弁当を食べながら、これまた失礼だが表面だけの付き合いの友人と駄弁る。

 夕、地味に遠い学校から家までの道のりをだらだら電車に揺られながら帰る。

 夜、飽きたが一応データだけは残しているオンラインゲームのログインを済ませ、これまた飽きてきた平面ディスプレイのオンラインMMORPGの中のギルメンと喋っチャットして時間を潰す。狩りはしない。キャラのレベルはカンストしているし、特にほしい装備もないからだ。

 これが俺の日常。ひどくつまらなく、怠惰で憂鬱で排他的で無機質で没個性的である種理不尽な俺の日常だ。改めて思い返してみてもつまらないな。


「そろそろ、このゲームも潮時やめどきかなぁ」


 チャットしていてふとそんな事を思った。

 最近は狩りにもあまり出ずダラダラとチャットしてばかりで一部ギルメンもあまり見なくなった気がする。このゲームも終わりサービス終了に近づいてきたのかもしれない。


 主に俺がゲームを飽きたと感じる指標は会話チャット時間と行動プレイ時間の対比にある。明らかに会話をしている時間が増えてきたらそれが俺のゲームをやめるか決めるときである。

 そして、今また決断の時が来たようだ。


「どうするかな~」


 そう呟きながら俺はPCを起動した。

 俺はゲームをやめる前にする事がある。それは次に移るゲームの散策だ。

 ネットでおすすめオンラインゲーム一覧などを開いていろいろと見て回っていく。


 ……うーん、こうしてみるとやってきたタイトルも増えたなぁ。そんなことをしみじみと思った。


「じゃ、次は『最新オンラインゲーム一覧』で検索と」


 ……うーん、ピンと来るものがない.....

 ふと、時間が気になり視線を下げたところでとある作品が目に留まった。


「特選作品『グリム・ファンタジア』?VRMMOか。そうか、VRか」


 まだ、手を出した事のないそのジャンルに沸々と興味が好奇心が湧き上がってくる。


「よしっ!これに決めた!」


 俺は開きっぱなしだったオンラインMMOでギルドメンバーに半引退(ログイン専)の宣言をしてアプリを閉じる。

 そうして俺は特選作品からグリム・ファンタジアの作品紹介を見て必要なVRギアや専用ソフトなどの準備を始めようとしーー


「あ、やば。これまだβ版試用プレイ終えただけで発売されてないじゃん」


 発売までの期間を考えて俺はそれまでの間、チャット相手のいないことに気づき慌てて一時引退中止宣言を出しにアプリを開いたのだった。


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 ほのぼののんびり更新。

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