第6話 上界の先輩

成仏後しばらく、上の世界で他の方々と交流し何とか気を紛らわせていた。

趣味の合う友人もとりあえず見つけ、楽しくやっている。

ちなみに上の世界ではコンビニで働いて、生計を立てている。

まあ、店長がその友人だったってのも理由の一つだけど。

いわゆる「コネ」ってやつかな?


それで今日はコンビニの長期休業を使って、久々に下の世界の様子を見ようと思った。

「完全に成仏してから数年。忘れられていませんように。」

「絶対忘れてないだろ。だって、家族だったんだろ?心配性だなぁ。君は。」

後方から突然話しかけられビックリしてよろけてしまった。

「て、店長さん~。背後から突然話しかけないで下さい。もうビックリしましたよ~。」

「すまんな…。てっきり気付いてるのかと思ったからさ。驚かすつもりは無かったんだ。申し訳ない。」

と頭を下げられた。

「店長さん、頭上げて下さい。ちゃんと分かってますよ。悪意無いのは。大丈夫ですから。」


終始、気まずい雰囲気になってしまい双方しばらく黙り込んでしまった。

少し経ってから店長が「俺も10年ぶりに帰ってみようかな?会社潰れてないといいけどなぁ。一緒の便でいいか?」

「あぁ、いいですよ。…ってか会社潰れてないか?とかって、生前はそれなりの役職だったんですか?」

見た目がチャラいので生前もフリーターあたりかな~?と思っていた。

「副社長だよ。で、事故当日は社長就任が決まり初出勤の予定の日だった。何者かに背後から突き落とされて電車に轢かれた。どちらかと言うと事件だけどね。犯人は捕まってないらしいけど、恐らく会社の人間だと思っているんだ。あまりにタイミングが良すぎるし。恨まれてたのかもね。」

店長は落ち着いた言動をしていたが表情はどちらかと言うと暗かった。

余計な事を訊いちゃったな…。と思い、すぐに詫びた。

「すみません!余計な事を訊いちゃって。嫌な事を思い出させてしまい申し訳ありません。」

すると、店長は「君は悪くないんだ。悪いのは犯人だし。嫌なら自分の口からは言わないよ。」

「暗い話はやめよう?せっかく帰れるんだから、明るい話をしようよ。恋愛話とかそういうの!恥ずかしいか笑」



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