第5話 成仏

息子が成長すると共にある「約束」の期限が刻々と迫りつつあった。

その約束とは「自分の息子が逞しくなったら上にいく」


息子が逞しく成長したら成仏することになっており、実際に息子自身頼もしい存在になっていた。死後しばらく息子は、現実を受け止められなかったのか夜中に泣いていたこともあったが、月日が経つにつれ受け止め始め母やなどを支え、弟には長男兼父親として奮闘していた。

そして、成仏する前日、妻宛てに手紙を書いた。

「妻へ。僕は、明日成仏します。あなたにはいつも助けてもらっていたのに、何も力になることが出来なくて申し訳ない。そしてみんなを残して去ってしまって申し訳なかった。生きているときも幽霊となっている時も迷惑を掛けてしまいごめんなさい。最後に、息子たちに上で見守っています。心配めちゃくちゃ掛けましたが、もうその必要はたぶん無いと思います。お母さんを今後も守ってあげてください。


父」



手紙どおり、この翌日に息子の勇姿を見守ってからこの世を去った。

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