第4話 ついに
今日も息子はいつも通り元気よく学校へ行った。
少し前はこっそりついて行っていたが最近は自宅に籠もっている。
あまりに暇なのでPC(パソコン)をつけて色々ニュースをみたりしているのである。
自身の死からしばらく経っているがたまに、あの事故を思い出したりする。死の直後は色々恨んでいる気持ちだったが時間が経過したのもあり、その感情はほぼなくなっていた。
パソコンに向かって数時間後、理奈さんが買い物から帰宅してきた。
すると理奈から「あれ?知也さん?えっ…?」どうやら困惑しているようだったがオレも困惑していた。
動揺したのか「あ、どうも。お久しぶりです。」正直、自分でもなんでこんなことを言ったのか分からなかった。
すぐに理奈が「成仏してなかったんだ。じゃあ、しょっちゅう物音するのは、あなたのせい?というか、幽霊のあなたがビビったらダメだろ!」
一喝されてしまった。そして、いつもの理奈さんだな。と思った。
「すること無くて、暇だったのでパソコンいじってた。先日の授業参観日も学校に行ってました。葬儀の時も居た。」
理奈にこれまでの経緯を事細かく伝えた。
「息子と、あの問題の話をしてたんだよ。本当に居たんだね!帰ってきたら伝えるよ。でも、本当に息子に教えたの?」
あの問題とはおそらく授業参観の時の事だろう。
「あの問題に関しては何も教えていない。息子自らの力で答えたんだと思う。その問題の説明も自分で考えたんじゃないかな?ヒントすら教えてない訳だし。」
すると理奈はそうなのか!というような表情をして「一言も言ってないの?でも息子曰わく、誰かに耳元で囁かれた。って言ってた。じゃあ、囁いたのは誰なんだろう?」
と言った。
これに関しては謎である。仮に、同じ幽霊だとしたら見えるらしい。あの時間はずっとあの教室に居たので幽霊が居たとしても気づく筈なのである。
しかし、理奈さんは「知らないなら息子にちゃんと伝えるよ。まあ、信じてくれないかもしれないけど。」
その後、息子が学校から帰宅しその事が告げられた。
「本当に、囁いたのは父ちゃんじゃないのか。でも父ちゃん自身はあの教室に居たんでしょ?父ちゃんしかいないだろ。」
やはり信じてくれなかった。仕方ないと言えば仕方ないが仮に、自分の声で伝えることができたとしても信じてくれないだろう。
「ってか、父ちゃんこの場に居るの?ご飯とお茶が父ちゃんの指定席にあるけど。」
と息子が不思議そうに聞くと
「あなたの背後にいるよ。にしても若いときの父ちゃんにそっくりだわ。」
すぐに理奈さんが即答で返した。
息子からは姿が見えないので「不気味!」と言われた。
その瞬間「えー…。不気味かいな…。」と心の声が漏れてしまった。
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