Next story……
――そういえばさ、秋斗君。
――ん? どうしたの?
――どうしたの、じゃないわよ! 二学期と言ったらあれでしょう!?
はて、十五歳となった僕たちに残されている一大イベントといえば、あとは受験だけではなかろうか?
僕は漠然と嫌な気持ちにさせられて、思わず嫌な顔をする。
――どうしてそんな嫌そうな顔するのよ! テストを二回乗り越えたら、ようやく楽しみな『修学旅行』が始まるじゃないの!
――そうだった。完全に忘れてたよ。
――うそでしょ……。
――ほんとほんと。
何も自慢げに、冗談交じりに言えることではないとは思っている。まさか一生徒として、修学旅行という一大イベントを見逃してしまうなど、それこそ『怪物』と言われかねない。
そもそもの言い訳をするのなら、夏休み。あんなことが起こったから悪いのだ。
過去を覗き、対峙する、男二人と多数の女の夏の物語。あれがなければこんな失態を起こすことはなかったのだ。
――あと何週間後なんだろうねー、楽しみすぎて勉強なんかしてられない!
糸氏の彼女がそういうので、僕は少しおどけるように言った。
――なら、神社にでもプチ修学旅行に行こうか?
――どうやら私の彼氏はとっても紳士みたい。
そんなことを言い合って一緒に帰る。一つの夏の物語を終えて、修学旅行の物語に向けて――『修学旅行物語』に向けて。
春休物語 ヤマ @yamanoheya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。春休物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます