喪服の女
女はいつも喪服である
市場にも、映画館にも
病院にも佇んでいる
カラらララララら、カタかた/明滅
黒いカゲ/黒いトカゲ/ピアノの黒鍵
彼女の影が写り込み
ひとつの風景となり
カラらララララら、カタかた/明滅
立ち並ぶ地蔵を数えてもなかに
黒い女が立ち現われ、散る花の
ひとひら、ひとひらが女となり
逆巻いて、逆巻いて/暗転
カラらララララら、カタかた/明滅
飽和していく喪服の女よ
黒光りする蜥蜴のように
忍び寄る影、お前は死か
明滅と暗転が繰り返され
観劇者たちは涙を流して
ひとり、またひとり去り
わたしだけが喪服の女と
向き合う、誰を悼むのか
女よ、やがてヴェールが
剥がされ……/暗転
明滅/墓/誰の/棺桶
そこに眠るのは/死と生/反転
女は花束を主人を無くした
椅子に供え部屋を出ていく
映写機は沈黙に落ちている
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