ある作家の死

"テラリアの小窓"


それは一枚の絵画

観てはならぬ呪い


Guilty auction罪深き競売にて

両のまなこが腐れ落ち肉は枯れ果て

二百四十八名死亡、一名が生存

被害者の多くはマフィアや

経済界の有力者と政治家だ

生き残った唯一の生存者は

絵画を胸に抱き涙していた

眼球のない眼窩から


わたしは

違法な地下オークションで

起きた惨劇について調べた

内容をここに記そうと思う

だが時間はあるだろうか?

あの話を

聞いたときから

観たくてたまらないのだ

今、わたしの眼前に包装された

絵画がありわたしの手は意志に

反して、いや、反してはいない

わたしはアレが観たいのだ

あゝ、テラリアの小窓

紺碧のかが、や、き……


(後は筆跡が乱れ解読不能)


フィクション・ライター

乃間 銑一郎

1978.8.10


氏は自宅にて変死体で発見された

両のまなこは腐れ落ちて

木乃伊化した遺体であった


野間 銑一郎氏が残した原稿に書かれた

絵画については発見されていない……


残氓者の記録

"テラリアの小窓"に続く

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