第15話 少年たち
「何してるんだ! やめろ!」
橋の下でウォルフガングにリンチしてる少年たちに、エバンズは走りながら大声を出した。
少年たちは、エバンズの姿を見ると一目散に逃げ出した。
その中の一人が転倒した。
起き上がって駆け出そうとする少年に、エバンズはタックルした。
ハイスクール時代、エバンズはラグビー部に所属していた。……万年補欠だったが。
暴れる少年を取り押さえ、彼の服装を確認したエバンズは驚く。
ワインレッドのブレザー。胸には、王冠をモチーフにした校章。
超名門校じゃないか。
東オルガンで一番だといわれる私立ハイスクールの制服だった。生徒は、王族、貴族の末裔であるご子息がほとんどだ。
「君! 名前は!」
「離せよ、おっさん!」
顔を歪ませて、少年は身をよじった。
「何てことをするんだ! 大勢で寄ってたかって」
少年の手を後ろにひねり上げ、エバンズは手錠をかけた。
「話は署で聞こう。来なさい」
くそ、と少年は唾を地面に吐き、地面を蹴った。
「おとなしくしなさい」
あの学校の生徒だとは思えないな、とエバンズはあきれる。
「エバンズさん」
ウォルフガングの様子を見ていたベアーがエバンズに声をかけた。
「全身を蹴られたようです。頭部への影響が心配です」
ベアーに抱き起こされたウォルフガングは、鼻血だらけだった。
「俺はなんもしてねえ! 奴らがいきなり……!」
「病院に連れて行きます、ウォルフガングさん」
ベアーを見たエバンズに、ベアーは察して頷いた。
「私が車まで背負います」
エバンズはウォルフガングを背負い、立ち上がる。
「さあ、来るんだ」
ふてくされた顔をしている少年を、エバンズは引っ張って促したーー。
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