2匹目 癒します
店に無理やり押し込まれた僕の目に入ってきたもの。それは猫耳を付けた、と言うよりも猫耳が生えた男女がいた。
「こんにちは!いらっしゃいませにゃ!」
とても元気よく挨拶をしてくれた。みんながみんな、きらきらしている。
ここはネコカフェじゃないのか、思ったが皆が猫の代わりをしている?と思った瞬間、
「ぽひゅっ」と音がしたので周りを見ると2足歩行をするネコたちばっかりだった。
「え?え、ちょ・・・」と困惑している僕にネコ男(いちいち長いので省略)が
「驚かして、申し訳ないですにゃ。僕たちは人から見捨てられたネコで、なぜか人間になれちゃって・・・それで、ここではネコですけど、外では人間なんです。猫耳は出てますけど。あの、ここに連れてきたのはあなたがどこか悲しい感じでしたし、この近くのは自殺の名所があるので自殺じゃないかと思い、無理やり押し込ませてもらいましたにゃ。」
唖然としてしまった。そんな奇跡のようなものがあるのかと驚いたが、それよりも何て良い人・・違う、ネコなんだと感動して、なぜか安心して、泣き崩れてしまった。
「ごめんなさい。ここで・・泣くなんて・・恥ずか・・しい・・・」
涙が止まらない僕に温かいスープをくれた。
「いいんですにゃ。辛かったんですよね。気が済むまで泣いてくださいにゃ。言いたいことも言うですにゃ。」
僕は泣いた。溜まっていた不満やら気持ちやらをすべて出した。ネコたちは全部受け止めてくれた。優しかった。親ですらこんな優しく接してくれなかったのに。常に一人で悲しかった気持ちでいっぱいの僕の心を温かい気持ちで埋めてくれた。
やっと落ち着いた僕にまたスープを出してくれた。
「・・ふぅ、すみません。ありがとうございました。」
「いいえ、私たちはネコ好きのみですが、学食を出して心を癒していく活動をしています。」
優しいネコたちだ。これを仕事と思っていないなんて。僕もこんな人になりたかったな。と思いふけていると
「何か食べますかにゃ。懐かしい学食がメインですが、何が良いですかにゃ?」
と優しい笑顔で聞いてきた。この笑顔、安心するなとほっこりしていた。じゃなくて、何が良いかな。あ、カツカレーがある。懐かしいな。
「じゃ、じゃあカツカレーでお願いします。」
「はい!かしこまりましたにゃ!」
本当にこの笑顔はほっこりするし、安心する。神様のように輝いている。
カツカレーを作ってくれている間、ネコたちは自己紹介をしてくれた。全員で8匹で、【シャムさん(ムー)、メインクーンさん(メイ)、ベンガルさん(ガルル)、ロシアンブルーさん(ロッシー)、バーマンさん(バン)、エキゾチックショートヘアーさん(エゾ)、サバンナキャットさん(サナ)、ペルシャさん(ペルン)】の8匹。
この8匹たちがおもてなししてくれた。サーカスの真似っこをしたり、お笑いをしたり、踊りもした。こんなに笑ったの初めてだというぐらい笑った。
そうこうしているうちに出来上がった。とってもいい匂いでおいしそう。
「お熱い間に食べてくださいにゃ。」
食べてみた。すっごく美味しい!あの日食べた味だ。懐かしいな。まるであの日に戻ったみたいだった。がっついて食べる僕に「そんなにいぞがなくても大丈夫ですにゃ」と優しい笑顔でいってくれた。「おかわりありますにゃ」とも言ってくれた。
おかわりを3杯もした。3杯目を食べているときに料金のことに気がついた。考えてなくて、ウン千万とか言われたらどうしようと恐る恐る聞いてみた。
「あ、あの・・・りょ、料金って・・・」
「?あぁ、大丈夫ですにゃ!知る人ぞ知るネコネコ学食は1回目はタダですにゃ。それに、金欠の方にも対応していて、料金はその時美味しかった分だけですにゃ。この店に来る人に悪い人はいませんので、ちゃんと払ってくれますにゃ。」
「は、はぁ・・」
なんて優しい店だ。ここ、通おうかな。いつでも癒してくれそうだし、何でも料金がその時美味しかった分だけ。こんな店どこを探しても無いだろうな。
さて、帰って新しい仕事を探そうかと決めて気がついた。自殺しようという気が無くなった。不思議なことに自殺より夢と希望がわいてきた。ここは本当にいい店だ。感謝しきれないよ。
「あの、そろそろ帰りますね。新しい仕事を探したくて・・・」
「それなら、新しい仕事が見つかるまでここで働いて欲しいのですが・・」
本当か。夢じゃないよな。本や漫画の世界にいるみたいだ。
「あなたたちがよければよろしくお願いします。」
「もちろんですにゃ!ほぼ雑用・・買い出しとかですが、ちゃんと賄いもありますし嬉しい限りですにゃ!」
僕は大きくうなづいてさっそく明日から働くことになった。
「・・ところで、次は何のお仕事をお探しで?」
「えと、ペットショップかこんな人を癒せる仕事につきたくて・・」
「いいんじゃないですかにゃ!賛成ですにゃ!それなら、勉強しなきゃですにゃ!」
温かく賛成してくれた。接客業なら任せて!というので、お言葉に甘えて勉強しつつ、働くことになった。
店を出て、家までの道のりはとてもワクワクしていた。明日からあんな人たちの中で働けるということ、新しく考えた仕事について勉強するということがとても楽しみで仕方がなかった。さっきまで自殺を考えていた自分が恥ずかしかった。久しぶりに楽しかった。仕事がこんなに楽しいだなんて。
大通りに出たら山川君が見えた。こっちに気がついたみたいで寄ってきたが、無視した。隣の彼女に胸ぐらを掴まれたが、怖さなんかひっとつもなかった。
「お前、変わったな」と言われた。
「お前みたいに根性腐ってないんだよ。常に女をナンパして女子ウケしたいだけの男がよ。役者にでもなれば?嘘泣きうまいんだし。」と言い返してやった。顔を赤らめている。やっぱり気が小さい男だなとつくづく思った。
彼女の方を見ると、怒っている。「あれは嘘泣きなの!?サイッテー!人想いのいい人だと思ってたのに!」と顔を一発叩かれ、彼女は帰って行った。
笑いそうになったが、「ドンマイ」とだけを言い、その場を去った。
家に着くと、親からまた電話だ。
「あんた!仕事は!自殺せんかってんな!」
「そうだよ。仕事は見つかった。じゃあな。」
「なんやの!人が心配してやってんのに!」
「だったらもっと優しくできひんのか!」
「な、なんやのよー・・そんな怒らんで。果物送っといたで。」
「ん。じゃあな」
少し言いすぎたか。でも、これぐらい言わないと優しさがこれからも無いだろうなと思ったからである。それが親なりの優しさだったかもしれないが。
さて、明日の準備して早く寝よう。明日が楽しみで仕方がなかった。
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