第221話 男ならもっと女性に優しくすべきです!
“はー・・・松岡先生、2問目に行ってもいいかあ?”
『あ、ああ。いつでもいいぞ』
山口先生、結構落ち込んでるみたいだけど大丈夫かなあ。でも、そんな事を気遣ってやれる程、俺たちに余裕はない。
“第2問。太古の象の化石に残っていた体毛から、この象が生きていた年代を調査結果をもとに推定しなさい。条件は次の通り”
①この体毛に含まれる炭素のうち放射性炭素14Cの割合は1.320×10の
マイナス13乗であった。
②放射性炭素14Cは半減期5730年で14Nにβ崩壊する。
③大気中の二酸化炭素に含まれる炭素のうち放射性炭素14Cが占める割合は
1.200×10のマイナス12乗であり、この割合は時間の経過に関わらず
一定であったとする。
④log (1/2) 0.11 = 3.184
⑤象が死んだのは発見時から何年前かを答えること。
⑥答えは年単位で有効数字 3桁とする。
♪ピンポーン♪
“はあ?またお前たちかあ!?まだ松岡先生たちは問題文を貼り終わったばかりなんだぞ!ふざけるのもいい加減にしろ!!”
「ふざけてないですよー。それにそんな事を俺に言わないで下さい、式さえ導き出せたら計算は10秒もあればお釣りがきますからー」
“たくまー、問題を作った原田先生と松岡先生が泣くぞー。顧問を労わってやれよー”
「分かりましたよー。もし優勝したら肩でも揉んであげますから」
『おいおい、俺自身としては拓真より相沢か藤本にやって欲しいくらいだぞ。けど、そんな事をさせたらセクハラとか言われるから冗談だ。それより拓真、お前が式を導き出したのか?』
「そうですよー。篠原は手を出してないですよー」
『まったくー、勘弁して欲しいぞ。それにしてもお前のコンピューター並みの計算力は高校生クイズキング選手権のブラックリストに載るかもしれないレベルだぞ。まあ、それも冗談だ。たくまー、答えを出せ』
「はいはい、これが答えですよ」
『1.82×10の4乗(18,200年前)』
”おーい、松岡先生、これで合ってるのかあ?”
『はー・・・正解だ』
「どういたしましてー」
“勘弁してくれよなあ。小学校低学年の算数教室並みの速さで答えられたら何の為の決勝戦なのか分からないぞ!ところで藤本、3年生の数学ナンバー1はどこまで計算してたんだ?”
「公式をようやく閃いて書き始めようとしたところですよお。式も書いてないのに答えられたら手も足も出ないからマジで勘弁して欲しいぞ!」
「真姫の言うとおりよ。ちょっとは手加減する気はないの?」
「拓真くーん、今年の『ミス・トキコー』と『準ミス・トキコー』に花を持たせてあげないと嫌われるわよ!」
“おーい、その話はあとで拓真個人にしろー。因みに佐藤三姉妹はどうなんだ?”
「こっちも同じですよ。唯さんが公式の1文字目を書き始めた時に押されたわ!マジでムカつきます!!」
「ホントにたっくんはレディファーストという言葉を知らないのかってくらいに容赦しないわよね、ぷんぷーん!」
「唯先輩の言う通りです。拓真先輩も男ならもっと女性に優しくすべきです!」
『たくまー、女の子に嫌われるぞ』
「勘弁してくださいよお」
“はいはい、文句は後で拓真個人に言ってくれー。じゃあ、クイズ同好会リーチで第3問いくぞー。次の7人の共通点を答えよ”
チャールズ・ダーウィン
イーゴリ・ストラヴィンスキー
エドガー・アラン・ポー
ヴェルナー・フォン・ブラウン
ヴィクトリア女王
神聖ローマ皇帝カール5世(スペイン国王カルロス1世)
☆作者より☆
決勝の第2問目は2012年の高校生クイズで実際に出題された物です(関係者のみなさん、無断借用してゴメンナサイ)。実際の問題は「太古の象」ではなく「マンモス」ですけどね。
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