第215話 2枠は決まったも同然じゃあないか!
「山口先生、『あ』『い』『う』『え』『お』で始まる
“おーし、佐藤三姉妹は『あ行』の諺だな。藍と唯は準備いいかあ?”
「あー、唯はいつでもいいですよー」
「私もです」
“松岡先生を始めとした審判員も大丈夫かあ?”
『こっちも準備万端だ。いつでもいいぞ』
“じゃあ佐藤舞、いくぞ。よーい、スタート!”
「その場にいない人の噂をすると偶然その人が現れること」
「『噂をすれば影が立つ』」
「急に意外な事が起きること」
「『足元から鳥が立つ』」
「喧嘩や争いが起きている時に仲裁してくれる人がいたら、それに従え」
「『挨拶は時の氏神』」
・・・観客だけでなく相沢先輩や藤本先輩までもが感嘆のため息をつく程の勢いで藍が答えていく。唯も答えているのだが、ほぼ2:1で藍が答え、しかも二人とも誤解答がなく俺が感じた限りではNGヒントどころかミスヒントもない程に舞も的を得たヒントを出している。初回から恐ろしい点数が出そうだぞ。
「・・・長い時間かけても結論が出ない」
「『小田原評定』」
“タイムアップ!”
山口先生が叫ぶと同時に三人が深く息を吐いた。結構いい点数が取れたと思うけど、いきなりの高得点で2番手以降に結構プレッシャーを与えたのは事実だ。しかも藍も唯も舞と一緒にハイタッチしているくらいだ。
『おいおい、マジかよ。結構説明しにくい諺を集めたつもりだけど、いきなりパーフェクトは勘弁して欲しいぞ』
「「「「「「「「はあ?いきなりパーフェクト!?」」」」」」」」
『まったく、佐藤三姉妹の頭の中を覗いてみたいぞ。次、相沢、藤本、村山。説明者は誰だ?』
「はあい、わたしでーす」
『相沢かあ。国語だけは3年間トップを維持し続けるお前の説明力、見せてもらおうか』
「任せて下さい」
相沢先輩が選んだのは『戦国武将』だ。恐らく名前は知ってるけど説明しにくいという人物ばかり集めたはずだぞ。
“じゃあ行くぞ、スタート!”
「秀吉の軍師、中国大返し、福岡藩の祖」
「『
「信長の小姓、戦国一の美男子」
「『
「石山の合戦、鉄砲隊の頭領」
「『
「
「『
・・・さすが相沢先輩、まさに戦国武将のポイントを的確に捉えたヒントだ。しかも藤本先輩と村山先輩の答えにもミスはない。他の連中も関心してるぞ。
「・・・豊後大友家の家臣、柳川藩主、島原の乱を鎮圧」
「『
“タイムアップ!”
山口先生が叫ぶと同時に三人が深く息を吐いた。こちらも結構いい点数が取れたと思うけど、藍たち同様に結構いいプレッシャーを他チームに与えたはずだ。
『おーい、マジで勘弁して欲しいぞ。2チーム連続パーフェクトなんて信じられないぞ』
「「「「「「「「はあ?2チーム連続パーフェクトだとお!」」」」」」」」
おい、マジかよ!?俺も篠原も何ポイントかまでは数えてなかったから、まさかパーフェクトだったとは夢にも思ってなかったぞ。という事は実質決勝進出の2枠は決まったも同然じゃあないか!
当然だが相沢先輩と藤本先輩、村山先輩はお互いの右手をグーにして軽く突きあって余裕の表情すら浮かべている。
『次、クイズ同好会。説明者は誰だ?』
「あー、はい、オレです」
『おー、長田かあ。去年の高校生クイズキング選手権セミファイナルのリベンジか?それとも「江戸の敵を長崎で討つ」つもりかあ?文学王といえども説明力だけは小学生並みだからなあ』
「あんまり言わないでくださいよお。でもオレだって進化してるんだからさあ」
『よーし、その言葉が嘘でない事を証明しろ!まずは箱から1通選べ』
松岡先生に言われて長田は山口先生が持つ箱に右手を入れてゴソゴソと掻き混ぜたかと思うと、1通の封筒を取り出した。だが、それを見た長田は一瞬だが呆気に取られたような顔をした。
「あのー、山口先生・・・『漢字で書く球技』って一体なんですか?」
“おー、まさか長田が引くとはなあ。お前の成長ぶりを調べるのに丁度いい問題だなあ”
「丁度いい問題?」
“それはクラーク博士が作った問題だ。この問題には特別ルールが存在し、解答者は球技名を日本語表記の読みで答えないと正解とみなされないぞ”
「「「日本語表記?」」」
“ああ。たくまー、お前に質問だが「9人ずつのチームで争い、バットとボール、グローブを使う球技」と言えば何だ?”
「そんなの簡単ですよ。野球ですよね」
“そうだ。この場合、拓真は野球と答えれば正解だが、ベースボールと答えたら不正解になるから野球と言い直さないとポイントにならない。それと、当たり前だが長田はベースボールという言葉を使ったら即NGヒントになるから気をつけろよ”
「はいはい。ようするにオレは漢字表記された球技の外国語読みは絶対にしてはいけないという事ですよね」
“分かってるじゃあないか。じゃあ、持ち場につけ”
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