第155話 ブラジャーのサイズは・・・

 そう言ってその紙を宇津井先輩に見せたが、宇津井先輩が笑いながら

「おー、もとおかー、お前がやれー」

とか言い出し、さらには会場のみんなも内容は分かってないけど「もとおかー、やれー」「司会者にも拒否権はないぞー」とかヤジが飛んだ。本岡先輩は「勘弁してくれよお。後でどうなっても知らないぞー」とか言って、その質問内容を読み始めた。

「えーと・・・藤本さんに質問です。ブラジャーのサイズは何カップですか?」

 その瞬間、藤本先輩が顔を真っ赤にして両手をテーブルの上にドンと乗せながら勢いよく立ち上がり、同時に会場中から『おーーー!!!』と大歓声が上がった。

「いいぞー!」

「ふじもとー、答えろー!」

「わたしも知りたーい!」

「ふ・じ・も・とー」

と、会場中が藤本先輩に言えとばかりの大合唱になった。

「おーい、ちょっと勘弁してよお」

と藤本先輩はボヤいたけど、ついさっき相沢先輩に「拒否権はないぞー」と会場に同調してはやし立てたのは藤本先輩自身なのだから、仕方なく藤本先輩は席に座った後に小声で

「・・・生徒会書記の名前と同じだ」

と答えたから、会場中から再び大歓声が上がった。生徒会書記と言えば・・・なるほど、たしかに特注のメイド服でないと着れない訳だ。

 当然だが藤本先輩は顔を真っ赤にしてため息をついてるし、宇津井先輩と本岡先輩は「マジかよ」「そんなにデカかったんだ」と呟いて唖然としていた。

「じゃあ、次の質問です。えーと、次は唯さんに質問です。理想のタイプの男性を芸能人やスポーツ選手に例えると誰になりますか?」

 宇津井先輩が唯に質問すると、唯は少しハニカミ笑いをしながら

「えーと・・・アメリカのメジャーリーグで活躍する日本人の超有名野球選手です」

と答え、会場中からは驚きとも取れる声が上がった。

 なーるほど、唯はガチガチの筋肉質よりも、スリムな方が好みという事かあ・・・おい、ちょっと待て、じゃあ、俺の立場はどうなる?俺はあんな有名人と比べたら月とスッポンもいいところだぞ。

「その次の質問です・・・藍さんに質問します。藤本さんが卒業したら『トキコーの女王様』を名乗りますか?」

 本岡先輩が藍に質問をしたけど、藍は藤本先輩をチラッと見た後にため息をついた。さすがに藤本先輩の前では藍も答えにくそうだ。仕方ないと言った表情で

「あのー・・・出来れば『女王様』ではなく、普通の女の子って言われたいんですけどお、駄目ですかねえ」

と答えた。会場の反応は2つに分かれ、「いいぞー」という意見と「だめだー」という意見の両方のヤジが飛んだ。

 宇津井先輩が再び箱に右手を入れて質問書を取り出した。

「えーと、次の質問です。会長に質問します。先日、とあるショッピングモールで会長はお好み焼きが見えなくなる位の大量のマヨネーズを掛けていましたね。会長はマヨラーですか?」

 宇津井先輩が相沢先輩に質問したら会場中が大爆笑となった。当然だが顔を真っ赤にして相沢先輩が立ち上がり

「えー!これって、ゴールデンウィークの時に私がイーオンでやった事だよねえ。絶対に口外しないでねって言ってあったのにー・・・勘弁してよお」

 そう言ってボヤいたが、全ては後の祭りである。渋々ではあるが相沢先輩はマヨラーである事を認め、家では食パンにマヨネーズをたっぷり塗った後にトースターで焼いているとも告白し、会場は先ほどを上回るくらいの大爆笑となった。

 次は本岡先輩が箱に右手を入れて質問書を取り出した。

「えーと、藍さんに質問です。先日、札幌の大通りのデパチカにある和菓子店の前で『こしあんの和菓子を食べる奴は最低だ』と言ってましたし、昨年の体育祭でも粒あんぱんをごり押ししてましたよね。でも、去年の冬、文芸部の女の子たち数人と大判焼きを食べている現場に遭遇しましたが、あの大判焼きはでしたよね。発言と行動が矛盾していますが、どうなんでしょうか?」

 さすがの藍も顔を真っ赤にした挙句、両手をあたふたと振って慌てていた。当然だが相沢先輩や藤本先輩も大笑いしていたし、唯も笑っていた。

「あ、あ、あの時はですねえ、え、えーと、粒あんの大判焼きが売り切れだったのでだけでしてー、い、今でも粒あんの方が好きです」

とか言ってたけど、本岡先輩がニコニコしながら

「あのー、藍さん、この質問には続きがあって、『あの時、粒あんの大判焼きが少なくとも2個残っていて、その前に私が粒あんの大判焼きを買って店で食べてたから、売り切れだとか出来上がってなかったとかの言い訳はしないで下さい』って書いてありますけど、どうなんですか?」

 そうダメ押しをしたから会場から笑いが起こり、藍も黙っていまい、結局、「今でも粒あんの方が好きですけど、別にこしあんが嫌いな訳ではありません。みんなと同じ大判焼きにしただけです。すみませんでしたあ!」と平身低頭で頭を下げた。

 続いて宇津井先輩が質問書を取り出した。

「えーと、唯さんへの質問です。今月の上旬、右手を骨折していた時の話ですが、朝、登校する時に手に鞄を持ってなかったので調子にのっていたのか地下鉄の階段を全速力で走って登っていたから、下から見てたらスカートの中が丸見えでした。ひょっとして家でもあんな感じなんですか?」

 当然だが唯は顔を真っ赤にして俯いてしまったし、会場は大爆笑となった。

「え、えーとー、家では出来るだけ大人しく振舞ってますけど、あの時はついつい調子に乗ってしまってー・・・あー!お願いだから記憶から消去してー!!」

そう言って唯は大声を上げたけど、相沢先輩も藤本先輩も大笑いしていて、特に藍はお腹を抱え笑い死にそうなくらいの表情をしていた。

 本岡先輩が箱から1枚の質問書を取り出した。

「藤本さんに質問です。もし校則を追加できるとしたら、どんな校則を作りたいですか?」

 本岡先輩が質問書を読み上げると、藤本先輩は少しだけ考えた後にクールな笑みを見せながら

「そうだなー、男子にもスカート着用を義務付ける事と、女子には全員にブラジャーのカップの公表を義務付けることだあ!」

そう言うと男子も女子も拍手喝采となった。

 この後もトークショーは続き、グレーゾーンどころか殆どブラックだろ?というような質問もあったが、執行部女子四人が面白おかしく答えてくれた事で終始盛り上がった状態だった。

「・・・えーと、さすがに予定の時間になりましたので、次の質問で最後にしたいと思いまーす」

 そう言って本岡先輩が箱から1枚の質問書を取り出したが、それを見た途端に

「えー!またこれを俺にやれって言うのかあ!?」

またもや本岡先輩は超がつく程の渋い顔をしながら宇津井先輩に紙を見せたけど、それを見た瞬間に宇津井先輩がお腹を抱えて笑い出した。

「もとおかー、お前が選んだ質問書だから、お前がやるしかないだろ?」

「うついー、後でジュース奢るからお前がやってくれよお」

「だーめ、俺は既に質問タイム終了だぞ」

「勘弁してくれよお」

 そう言って本岡先輩はボヤいたけど、会場では「早くしろー」「もとおかー、根性だあ」「司会者にも拒否権はないぞ」とかヤジが飛んでいた。

 仕方ない、という顔をして本岡先輩は質問書を読み始めた。

「はああーーー・・・藤本さんに質問です。風紀委員会顧問の斎藤先生をして『史上最強の風紀委員長』と呼ばれる程の女王様の藤本さんですが、ムチとロウソクを差し出して『僕と付き合って下さい』と告白したら付き合ってくれますか?」

 この瞬間、会場中から『ウォーーーー!!!!』と大歓声が上がり、相沢先輩たちも爆笑だ。当然だが藤本先輩も大笑いして

「本気で私に責められたいという奴がいたら考えてもいいけど、校内でムチとロウソクを使うのは風紀委員長として見逃す訳にはいかないし、わたしが使うのも有り得ないぞお。だから無理!」

 そう藤本先輩は言って話を終わらせたけど、相沢先輩が

「じゃあ、真姫は学校以外でムチとロウソクを差し出す子がいたらOKするの?」

と言い返したから、再び会場中から大歓声が上がった。藤本先輩が顔を真っ赤にしながら「えー!勘弁してよー」と回答を拒否したけど「拒否権は認めませーん」と再び相沢先輩が言ったから、やむを得ずと言った感じで「学校の外でも絶対無理!」と言って、やんややんやの歓声を浴びていた。

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