前世と現世をシンメトリーとして配置させるという作者の実験意欲を感じます。前世の記憶を背負って生きるOL溝口ゆかり。市川サダメとしての記憶が呼び起こされるシーンにおいて、色使いやタッチを変えて混同しないように描く部分など、高い技術力を感じました。作者の作品に共通することですが、本当に色使いが巧みです。各情景も丹念に描かれております。ラストシーン後の展開が気になるところで切り上げており、読了感を味わえました。素敵な作品です。