第22話 切り札

「俺のターンドロー!」


今の状況を解析すると、ユータの場はモンスターがおらず、セータはビーストオークと後列に森の精霊リヒトがいる。森の精霊リヒトは毎ターン2つエネルギーをチャージできる。徹底的にエネルギーブーストをし、コスト12のある切り札モンスターを出すこと。それを出されたらほぼ負けは決まりだ。


「俺は神獣ケルトを召喚。モンスター効果でデッキから3枚ドローし、エンドフェイズに手札を2枚捨てる」


引いたカードはスペシャルマジック天罰、神獣ケルトリス、スペシャルマジック攻撃の無力化だ。スペシャルマジックの天罰はSP4消費で相手モンスターの効果を無効にできる効果を持っている。そして攻撃の無力化はSP4で相手のバトルフェイズをスキップする効果を持っている。


「さらに神獣ケルトを生贄にケルトリスを召喚だ。モンスター効果により神獣アクアを手札から召喚する。神獣アクアのモンスター効果で墓地の神獣リオルを手札に加える。バトルフェイズ!」


ユータの場には神獣ケルトリスと神獣アクアがいる。そしてセータは森の精霊リヒトとビーストオークだ。森の精霊リヒトは後列にいるため攻撃は出来ない。後列には1たいしかモンスターを置けない。


「神獣ケルトリスでビーストオークを攻撃だ!クラッシュ!」


神獣ケルトリスのパワーは5000でビーストオークのガードは2000。そしてクラッシュにより山札から1枚確認する。両者が引いたのは共にドロー+1のクラッシュ効果を持つモンスターだった。


「ビーストオーク撃破!そして神獣アクアでダイレクトアタック!」


ブレイクは3なのでデッキから3枚墓地へ送られる。


「ターンエンドだ」


エンドフェイズ時、ユータは神獣ケルトの効果で手札を2枚捨てなければならない。

手札にあるのは、天罰、攻撃の無力化、神獣リオル、WORLD、JOKER、神獣パトラだ。この中から2枚、このデュエルどのカードを選択するかによって勝敗が決まるとユータは自負する。


「捨てるのはこれだ…」


ユータが捨てたのはデッキに唯一1枚しかないWORLDと神獣リオルのカードだ。なぜこのカードを捨てたのか。まず神獣リオルは展開スピードが遅く序盤にはとても強いカードであるが、後半ではコストのかかるサーチカードは不便である。そしてWORLDを捨てたのはWORLDの必殺のエンドオブザワールドはSPを5消費しないと発動できず、また3たいの上級神獣、神獣ケルトリス、神獣アクアトア、神獣アルパトラ。この3体がいなければ発動しない。相手の切り札のカード。海の神ポセイドン。これがブースト錬金デッキの切り札だ。


そしてセータのターン。1枚ドローする。


「僕は森の精霊リヒトを生贄に地獄の錬金釜を召喚する。後列に移動。さらにコスト8の森の賢者ニールを召喚する」


森の賢者ニールはSPを2消費することで墓地のカードを3枚までエネルギーゾーンにおくことができる。これによりエネルギーは11。次のターンで海の神ポセイドンが確実に出される状況になった。


「俺のターン」


ユータは次のターンで何か手を打たなければ次のターン、必殺のコンボで負けてしまう。


「ドロー!」


引いたカードは…。


「来てくれたか」


ユータはカードを上に掲げる。


「俺は神獣アクアを生贄に神獣アクアトアを召喚する!モンスター効果発動!墓地のコスト3以下の神獣モンスターを召喚できる。俺は神獣リオルを召喚!神獣リオルの効果でデッキから神獣アルパトラを手札に加える」


ユータは流れるようにカードをさばき、場を展開する。


「神獣パトラを召喚し、その効果で神獣アルパトラを召喚する」


「場に3たいの上級神獣モンスターを召喚したか、だがWORLDを召喚できるエネルギーはない。次のターンでお前の負けだ」


「それはどうかな?」


「何!?」


「俺の場に3種類の神獣がいるとき手札からJOKERを召喚できる。デッキから俺の切り札モンスター神獣マザーレインを手札に加える。攻撃をしてターンエンドだ」


「マザーレインだと!?僕の聞いたことないカードだ…」


そして運命のセータのターンだ…。

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