第19話 ロストパンドラVSスカウトスライム

ランキングバトルが開始され約1週間が過ぎた。勝率は7.8割くらいでレーティング1392、ランキング78位。1位のレーティングが1518で圧倒的差をつけられている。昼間の連中よりも深夜勢の方が圧倒的に強く、高レートたいはほぼ深夜勢だ。


これは生放送内で放送された現在20位のプレイヤーがデュエルをしてる映像である。このプレイヤーの名前はジュン、相手プレイヤーはカニキングというふざけた名前だがランキングは15位である。この対戦動画の視聴回数は10万回を超えている。


「ジュンさんよ、まさかここで当たるとは思わなかったぜ」

「それはこちらとて同じじゃわい。この勝負でお前のレートをたっぷりと頂くぜ」


うおーやれやれ〜!とか、天才VS天才の世紀末の戦いなどいろんなコメントが流れる。そう、俺も天才になりたいんだ。そう呟き動画に意識を集中する。


両者の2ターン目先に動いたのは先攻のジュンだ。召喚したのはコスト2のパレードスライムだ。


「パレードスライムでダイレクトアタックだ!」


パレードスライムのブレイクは2なのでデッキを2枚山札から墓地に送る。カニキングのデッキ枚数は41枚。そしてカニキングのチャージフェイズで39枚だ。


「俺はパンドラの使徒を召喚だ。アビリティ発動!デッキからパンドラの箱を手札に加える」


ジュンのデッキはまだ未知の領域と言われているスカウトスライムデッキ、それに対しカニキングのデッキはガイも使っていたロストパンドラデッキだ。ガイとのデュエルではロストパンドラデッキに勝利することはできたが、同じテーマの決闘者同士でも、カードの構成次第では実力は雲泥の差にもなる。


「パンドラの使徒でパレードスライムに攻撃だ」


カニキングが攻撃を仕掛けるが、ジュンは対抗策のスペシャルマジックを発動する。


「スペシャルマジック、スライムの壁の効果でスライム系モンスターへの攻撃を一度だけ無効にする」


これによりパレードスライムへの攻撃は防がれる。


「僕のターン!僕はスペシャルマジックキャストを発動です。この効果でエネルギーを2ためます」


キャッチによるエネルギーチャージとチャージフェイズで1枚手札をエネルギーゾーンへ置いたことにより、エネルギーは5枚になった。


「いでよ、僕のデッキのエース!タロットスライム」


タロットスライム!?聞いたことがないカードだ。すかさず裕太はネットでタロットスライムを検索するとその効果が持っているサイト、CM廃人攻略ブログに載っていたのだ。


「タロットスライムの効果発動!デスティニークラッシュ!」


ゲーム内のタロットスライムは触手でカードをシャッフルし、そこから1枚をプレイヤーに投げられた。受け取ったのは太陽のカード!その効果により相手は山札から5枚を墓地に送らなければならない。仕方がなくカニキングはデッキから5枚墓地に送った。カニキングの残りデッキ33枚。


「さらにパレードスライムでパンドラの使徒にスカウトアタックだ!」


「何!?序盤からスカウトアタックだと!?」


この瞬間ジュンのパレードスライムのモンスターアビリティが発動する。パレードスライムはスカウトアタック時カードを2枚めくることができ、そのうち1枚でもスペシャルマジックがあればスカウトアタックは成功になる。通常モンスターのスカウトアタックは1枚しかない引けないため、1枚お得というわけだ。しかもそれだけでなく引いた2枚を2枚ともSPゾーンにおけるという利点もある。


「クラッシュ…引いたぜスペシャルマジックだ。これによりパンドラの使徒をこちらのモンスターとして使わせてもらう」


ジュンはカニキングからパンドラの使徒のカードを受け取り自分の手玉として操る。


「いけ!タロットスライム!パンドラの使徒!やつにダイレクトアタックだ」


「ぐっ…くくく、はははは」


急にカニキングは笑い始めた。動画のコメント欄からはなんだなんだ負け確定して頭がいかれたのか?とかこいつキモくねとかめっちゃ叩かれている。だがそれは勝利の確信ゆえの笑いだった。

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