第9話 実力の差
鈴のターン。鈴はカードをドローし、エネルギーを1枚おく。裕太のデッキの枚数は22枚に対し、鈴のデッキは15枚。鈴はカードを召喚する。
「きて!魔王の左腕、そして魔王の右腕!」
ついに出た。暗黒の王を召喚するためのピースカード。魔王の両腕が存在する時にプレイヤーは手札から最強の魔王カードを呼ぶことができる。それは…。
「降臨せよ!暗黒の王デスガリア」
ついに出たと言わんばかりか。このカードは自分のデッキを10枚墓地に送る代わりに相手モンスターを全て破壊し、破壊したモンスター1まいにつき、4まい相手の山札を墓地へ送る。
「俺の場のモンスターはスラブラスターのみ、だから…」
「あなたのデッキから4まい墓地に送られるわ」
なんて強力な効果だ。自分のデッキをリスクにしただけあって、その破壊力は半端ではない。鈴のデッキはたったの5枚。裕太にターンが回れば逆転は可能だが、ターンが回ってくればの話だ。
「魔王の左腕は場にデスガリアがいる時パワーが+5000される。そして魔王の右腕はデスガリアが場にいる時、ガードが+5000になるわ。左腕は攻撃時相手の山札を3枚墓地に送る効果を持ち、右腕は他のカードが攻撃対象となった時、このカードが攻撃を受ける効果があるの」
鈴の場には悪魔王ヘルダントもいる。やつのブレイクが7で暗黒の王デスガリアもブレイク7、そして左腕は効果も追加してブレイク5右腕が3だ。合計22枚…。
「一斉攻撃よ!」
「うわーーーー!と言いたいところだが、俺も悪あがきさせてもらうぜ。スペシャルマジック発動!ソウルディレイ!このカードは自分モンスターが破壊され、ダメージを受けた時、このターン受けたダメージの半分のダメージを相手にも与える」
デッキはお互い0枚で引き分けだが、実力では赤宮鈴の方が上回っていると言える。そもそも魔王デッキを操る日本人プレイヤーがいることすら意外だった。
「あなた、アフレニアの決闘者はやってる?」
「やってるけど、それがどうした?」
「そう。なら、また戦える機会があるかもしれないわね。今度こそあなたに勝ってみせるわ」
「そ、そうか…」
屋上から出た鈴は帰宅した。圧倒的な破壊力を持つ魔王デッキ。鈴のデッキにはまだ裕太の知らない力が眠っているはずだ。アフレニアで戦うとすれば魔王デッキを使うことはできない…。というわけでもなくこのグームはRPG要素も含まれていて、アーカランド大陸のラスボスを倒すとイベントで魔王ダンジョンの地図というアイテムが手に入り、指定されてる場所で地図を使えば、使用したプレイヤーとパーティメンバーのみそのダンジョンに挑戦できるというわけだ。魔王モンスターのカードのドロップ率は高くて2%くらいだと言われている。
アフレニアの決闘者のゲームが発売されて2週間が過ぎた。今の時代の最先端をいくこのゲームのプレイ人口は100万人に及ぶ。プロゲーマーと呼ばれるゲームのプロフェッショナルの人物は過度な課金で大量のカードを入手している。裕太たちのパーティはユータ、マルタ、ガイの3人のメンバーで平均レベルが20くらいに到達していた。
ユータはレベル24 攻撃力52 防御力48 魔力20 魔防46 魔法は回復魔法のヒールのみで剣技を多く取得している。魔人剣、大地斬、双剣ブレイブなど。中でも一番のお気に入りは疾風迅雷剣である。疾風の刃で敵を刻み、雷属性の魔法を込めた剣の一撃である。
今日3人で狩りに行く魔物はウッドゴーレムだ。巨大な瓦礫を積んだ植物を生やしたモンスターである。この世界のRPGでは炎、水、雷、風、光、闇の6種類の属性があり、モンスターには属性の弱点や耐性がある。
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