第7話 メール

今日は大学のレポートがたくさん出て、早く済ませて家でアフレニアをエンジョイしたいと思ってる裕太は大学で昼食のラーメンを食べながら、それと同時進行で課題を片付ける。数学と英語…どちらも苦手科目だった。いや正確にはどの教科も苦手科目だ。だが課題はとにかく間違っていても全部の問題を解けばいいので、かなりてきとうに教科書を見ながら答えを記入した。合っているかどうかなんて知らん。


午後の授業でパソコンを使うが、実際には話をただ聞いてるだけの講義で裕太はこっそりとパソコンを開きアフレニアの決闘者の記事を検索して、情報収集に取り掛かろうとしてたところに1通のメールが届いていることに気づく。


「なんだろう。誰からのメールだ」


学校の先生の講義の通知メールではなく、見知らぬ学生からのメールだった。


「今日の放課後、屋上で待つ。決闘者同士の勝負をしようではないか! 追伸デッキ持ってきてね〜」


メールの主はUNKNOWN未知の通知者だ。今時こんなふざけたメールを送る奴がいるのかと呆れ顔になる。というか俺みたいなインキャにメールするやついるのかと我ながら驚かされる。


このデュエルはVRMMOのデッキではなく、俺の全国大会2位のデッキだ。そこ辺りのデュエリストに負ける要素は無いだろう。裕太の使うデッキは連鎖スライムデッキだ。当時、連鎖スライムデッキはデッキの回し方が難しいがためにマイナーデッキとされていたが、裕太が連鎖スライムデッキを巧みに使いこなし結果を残したことで、環境のトップメタになったのだ。トップメタとはデュエルのゲームで一番対策しなければならないデッキだということだ。


授業が終わった放課後、裕太は自販機でカルピスウォーターを購入し、ドリンクを飲みながら、屋上へと向かった。


そこで立っていたのは、一人の女子大生だった。隣のクラスの赤宮鈴。黒髪のロング、黒いセーターを着ている。彼女がメールの主だろうか。TCGの人口は圧倒的に男子の比率が高く、そもそも女子のカードゲーム人口が少ないのだ。マルタは別として。


「デッキを構えて。台は持ってきたからここでやりましょう」


「ひとついいか?なぜ俺に挑戦を申し込んだんだ?」


「強い人と戦いたいからよ。デュエリストとして当然じゃない?」


デッキを台に起き、プレイマットを敷く。MMOではカッコよくデュエルディスクを装着してカッコよくデュエルができるが、テーブルクロスのこの状態では、あのスリルを味わった後では物足りない。


コインを親指でパチンと空中に浮く。


「裏だ」


コインは裏の状態となり、裕太はニヤリと笑う。


デュエルが進み3ターンが経過する。お互いのエネルギーは2、ここからが攻め時だ。


「俺はスラ忍レッドを召喚。アビリティで1枚ドローする!ゆけ!スラ忍レッドでダイレクトアタック!」


スラ忍レッドのブレイクは3なので、鈴の山札を3枚墓地に送る。そして鈴のターンで1枚ドローし、SPゾーンに1枚カードを置き、エネルギーを1溜める。


「私はコスト3の魔王の左腕を後列に召喚するわ」


「魔王の左腕だと!?そんなバカな…まさかお前のデッキは…」


魔王の襲撃。1年前に当初ブームがまだ来てなかった時、海外で一時的に発売されていたストラクチャーデッキがそれである。魔王カードはあまりの強力さゆえに日本での発売は廃止されたが、まさか日本人でそのデッキを使う奴がいるとは…初めてみた。


「私は魔王の左腕のアビリティ発動!デッキから魔王の右腕を手札に加える!」


まずい。裕太の表情が重くなる。奴の狙いは魔王の両手を揃えることで召喚できるモンスター、それは魔王ウリア。魔王の襲撃のエースモンスターだ。そのモンスターだけは召喚させるわけにはいかない。




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