第29話 後 命の恩人
私が必ず宝物探し出してみせる。このダンジョンの魔物はリスボンしないから来た道を戻れば多分魔物に出会わないはず。
あのお姉さんは言ってた、私なら見つけられるはずだと。ちゃんと周りを見て、地図と比べる。考えよ、冒険者なら見つけられる。じゃあ、冒険者ならどこを見る?
天井? 壁? モンスターの死体? ない。ない。何もない。やはり魔物が出る何処にも探索しないと。でも、私じゃここの魔物を倒せない。
いや、私はアイテム使いだ。魔物から逃げるのはそんなに難しくないはずよ。まずはー、ここの壁は灰色だから、この布をこの魔法アイテムで灰色に染める。これで大分見つかりにくくなる。そして、このスプレーで匂いを消す。これなら行けるはず。
モンスターの側を通るとドキドキするけど気付かれていない。まあ、魔物の多くは人間より目が悪いとよく言うし。案外行けるんじゃない? と思った時期が私もあった。こっちに来てるぅ!
私が逃げ出すと他の魔物にも気づかれた。こんな時は閃光弾を使うしかない!
駄目だった。最初私を気づいたあの巨人形の魔物がまだ追ってきてる。マキビシで! マキビシを踏み潰した…。ば、化物だ…。
う、捕まえられた。巨人魔物は私を持ち上げて私のことをじっと見つめる。幸い手がポケットに届く。このダガーは火の魔法石が内蔵されてて、刃の部分に高熱を発生させる。離してもらうか。
「くっ!」
巨人は痛みを耐えられなくて私を投げ捨てた。痛い、足折れたかも。ちょ、そんなに怒らないでよっ! あ、死ぬね、私。何がいけなかったでしょ? もう一度選ばせても多分同じことをするから後悔はしてない。だって、役に立たない方がずっと辛いんだから。あ、お腹が空いたな。
血が沢山出てる。私の血ではなかった。
「大丈夫? えーと、ケイリちゃんだっけ」
「どうして、ここにいる、の? ボス部屋じゃあ」
「あー。ボスはそんなに強くなかったからあっさり倒した」
この人やはり強い。今のカイル兄さんじゃ勝ってないかも。私が今この人を殺したら、カイル兄さんは昇進できるかも。でも、他の冒険者を殺したら冒険者免許が剥奪されちゃう。
「足が骨折してる。カイルの元に連れて行く」
大丈夫、私1人がやったことだし。でも、ダメよ、命の恩人を殺すなんて。じゃあ、こうしよう。
私は剣士さんの剣を抜いた。
「ケイリちゃん、これはなんのマネだ?」
「助けて、くれて、ありがとう。ごめん、なさい。カイル兄さんを、昇進させる、ために、こうする、しか、なかった」
私は剣士さんの剣で自分の腹に刺さった。
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