第29話 前 交流
失敗する時のことは考えていた。でも、ボスを討伐できることを優先した。召喚獣で移動できるのは二人だけ。その中にメイさんが含まれている。メイメアリーのコンボも考えていたが、ボスが魔法使いを潰しにかかる傾向があるのでカイル兄さんにした。ところが、今はこっちの方が前衛がなくなった。カイル兄さんがボス部屋で戦ってる時遠距離で魔法で各個撃破しながらボス部屋に近こうと思っていたのに。
カイル兄さんにももし先にボス部屋に入りそうになかったらすぐに戻るようにと言ったのだが、負けず嫌いなメイさんが一緒にいるから、多分ボス部屋まで行くんでしょうけど。
こっちが合流しに行くしかない。でも、前衛がない。どうしよう? このままじゃあ時間が…。あんな速度で移動できるって最初から知っていれば…。どうしよう? 私のせいで…。トイレに行ってみんなを困らせた挙句、策も失敗するなんて…。私…、足引っ張りすぎ。どうしよう? 逃げよう? 怖い! 死にたい…。
「ケイリ、落ち着け!」
「メアリー、さん」
「ケイリ。次はどうする?」
「わか、らない…」
「今、私が魔法の才能に恵まれてるように、ケイリはケイリなりの才能がある。カイルはケイリを信じてる。カイルの信頼を裏切るのか?」
メアリーさんの言葉がココロに刺さる。でもどうしろうと。前衛がなければ…。前衛? ゴーレムを出したら。でも、岩石や土なんてないよ。消費も高いし。
「メアリーさん、土属性の、魔法、使えますか?」
「使えないけど、どうして?」
「ゴーレムを、召喚したい、から」
「液体じゃダメ?」
「ダメ、じゃない、けど。防御力と、攻撃力が、低くて…」
「なら問題ないでしょ。アシッドボール」
酸で? そうか。でも、魔法石にダメージを与えるかもしれない。でも…!
あとは魔法石の調整、酸であれば人サイズでも良かったかも。でも、一人チームは侮れない。何か手を打たないと。
ゴーレムはよく働いてくれてる。ここの魔物は蛭より強い。多分一撃で蛭を潰せるでしょ。けど蛭のような特殊性はない。単純に肉体的に強い。これなら、アシュリーで酸液ゴーレムを強化して突進させて、メアリーで魔法で倒す。
三十分経ったず、カイル兄さんの姿が見えた。
「メアリーさん、カイル兄さんに、私は、宝物を、探すから、探さないで、と、伝えて、ください」
「ちょ、ケイリ、待って」
こうするしかないの…。私が必ず宝物を見つけ出すんだから。
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