第26話 後 慎重
「ケイリ、何か質問あるのか」
カイル、いつも分かってくれる。もうカイル以外の人と結婚するなんて考えられない。好きな人といる時は緊張するなんて嘘だ。こんなにも心強いのに。
「はい。まず、聞きたいのは、ダンジョンの、規模、魔物の、数、及び、リスポーン周期。あと、出来れば、地図が欲しい」
「これは驚きました。何せ、冒険者というのは無謀の代名詞なんですから。先ずはダンジョンの規模、ですよね。新首都ダンジョンの面積はおよそ300000平方メートル。魔物は250匹です。新首都ダンジョンは天然のダンジョンではありませんから、ダンジョンとしての機能はありません。従ってリスポーンはしません」
「え?」
「ダンジョン内の魔物は全部このランクアップクエストのために冒険者を依頼して捕獲してきた魔物です。これもギルドが貴方達を期待してる証拠です」
「そうなのか」
リスポーンしない…。魔物の数は限られてる。魔物の250ポイントとダンジョン主の100ポイントと宝探しの150ポイント。ユリウスさんはチマチマ宝を探すような人には見えない。なんか最高の剣士とか言ってるし。となると、ダンジョン主を倒して、魔物を76匹、又は魔物176匹を先に倒したチームの勝ち。ユリウスの実力は未知数。こっちは人数が有利。そうね。3人がボス部屋に目指して、二人でユリウスの足止めをしてれば…。
「そして、これがダンジョンの地図です。地図が欲しいと言ってくれた冒険者はケイリさんが始めてです。どうやらケイリさんは私の知っている冒険者とは違うのですね。慎重な人は冒険者にならないとずっと思っていましたが」
「だろう! ケイリは凄いんだぞ」
「カイル兄さん、やめて。受付さん、ありがとうございます」
「お役に立てて嬉しいです。敬語を使う冒険者を見るのも始めてです。敬語を使う冒険者はナメられてしまいますから」
これは答えて貰いないと思うけど、一応聞いてみようか。
「最後は、宝探しに、関して、聞きたい、のですが」
「それに関して言えることはありません。そうですね、一流な冒険者なら見つけられる、とでも言っておきます。けど、ケイリさんなら見つけられるかもしれません」
そして、私とカイル兄さん二人で宿屋に戻る。
「ケイリがいてくれて本当に助かった。僕達だけならきっとはしゃぐだけで何の準備もしないだろう」
期待されて嬉しい反面、プレッシャーも感じる。
「待たせるんじゃないか、カイル。このユリウスと二人でゆっくり話そうじゃないか」
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