第21話 後 出発
まずはカイル兄さんの在り処を突き止めなくでは…
ギルドなら知ってるはずだと思う。行ってみよう…
「ケイリちゃん? ケイリちゃんじゃないか?」
「はい」
「ああ、よかった。急にいなくなっちゃって。心配したよ。カイルがすごく必死に探したよ」
「そうですか…」
探したのか? 全然知らなかった。嬉しい! けど、なんというか、罪悪感も…
「ケイリちゃん、これ」
メアリーのお姉さんが銀貨一袋を渡した。
「これは何ですか?」
「報酬よ。カイルはケイリちゃんを探すために依頼を出したのよ。ケイリちゃんが自分から来たから、このお金はケイリちゃんのものよ。でも、このお金の使い方、私に決めさせていいのかな?」
「あ、えっと。いい、です、よ?」
「ケイリちゃん、ちょっとここで待っていて」
「はい」
え? お金の使い方? 私、騙されていたのか? ちゃんと言った方がいいのかな? でもまあ…えーと、でもまあ、そうそう。もしメアリーのお姉さんが私を騙したいのなら、最初から銀貨のことを黙っておけばいい。メアリーのお姉さん、疑ってごめんなさい。
「ケイリちゃん、こっちらはdランク冒険者のウィリアム。ウィリアム君、こっちらはdランク冒険者のケイリちゃん」
dランク? カイル兄さん達、ランク上げたのか…やはり…私だけが置いていかれてるのか…
「よろしくお願いします」
「はい。よろしく、お願い、します」
「ケイリちゃん、カイルを捜すんでしょ?」
「えーと、はい」
「カイルは今新首都にいるよ。新首都は遠いし、道中魔物も出るし。女の子一人は危ないよ。ウィリアム君はここから新首都までの往復を何回もしたから、ウィリアム君を依頼して同行させるのはどう?」
「そういう、こと、なら。うん」
「ウィリアム君、依頼を受けて頂きませんか?」
「はい」
カイル兄さん、新首都に行ったのね。すごいのね。私と違って。カイル兄さんの元に戻っても、私の居場所があるんでしょうか?
そして、出発の時がやってきた。
「あの、ウィリアムさん。他の皆さんを、待たなくて、いいですか??」
「他の皆って?」
「えっと、他の、パティーメンバー…」
「ないよ?」
「え?」
「いや、だから、俺は誰とでもパティーを組んでないから」
「一人で、依頼を、こなすのですか?」
「そうだよ」
一人でdランクまで上ってたのか…すごい。
「じゃあ、出発しよう」
「はい」
dランクの冒険者から何かを学ばれたらいいな。
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