第21話 前 後悔

嬢ちゃんがうちの店に来てくれた。若い頃の自分を思い出せる見込みのある子だ。だから、仲間が来ても返す訳には行かないでね。


「すいません、仲間のケイリを見なかった? 前にここで魔法の弓を買った子だ」

「いや、見たことないな」

「そうか…見かけたらギルドに連れて来てください。報酬貰えるから」


金出してまで…店番させるつもりだったが…仕方ないか…まずはアイテムの知識を身につけさせよう。


娘がいたらこんな感じなんだろうな…いやいやいや。歳、そんなに離れていないから。嬢ちゃんは十六で、俺は三十一。十五しか離れてないから。そう、妹だ。妹がいたらこんな感じだ。でも、おかしいな。歳なんか気にしたことないのに…


嬢ちゃんは飲み込みの早い子だ。あっという間に魔法言語を習得した。が、問題も多い。まず、実技より知識を優先するところだ。アイテム使いにおいてはアイテムの扱いが重要だ。嬢ちゃんはそれを分かっていないんだ。


メンタルの弱さも大問題だ。すぐに自分を追い詰める。何というか、助言したつもりなんが、嬢ちゃんを追い詰めることになる。だから、嬢ちゃん相手に言葉を選ばないと面倒なことになる。

詳しい話しいは聞いていないが、どうやら嬢ちゃんはこんな性格にしたのは嬢ちゃんの母親みたい。そして、状況を変えてくれたのは嬢ちゃんの仲間だったらしい。嬢ちゃんはその幼馴染の役に立ちたく、冒険者になったらしい。


俺にも何が出来ないだろうか? 時間掛けで嬢ちゃんの性格を変えて見るのはどうだ?


と思ったら、嬢ちゃんは傷だらけの体を引きずって戻って来た。どうやら嬢ちゃんはまた無茶したらしい。嬢ちゃんのことなんだから仕方ないと思っているが、せめて出発する前に一言言って欲しかった。


そう言ったら、嬢ちゃんが俺が止めるから言わなかったと返した。俺はどこで間違っていた? 心配しすぎのが仇になったのか…


頭に血がのぼって、視界が狭くなり、俺は嬢ちゃんに明日出発しようと言ってしまった。もちろん行って欲しくな買った。俺はただ、ごめん、なさい、今度は、店主さん、と一緒に…と聞きたかっただけだ。だが、嬢ちゃんは、そう、ですね。これ以上、店主さんに、迷惑をかける、訳には、いかない、よね…と返事した。


こうして嬢ちゃんは行ったのだ。俺に残されたのは後悔だけだった。


教わるべきことは大体教えた。嬢ちゃんは早く出発したいからダンジョン主を挑んだ。嬢ちゃんのためにも、早く出発させないと、また無理をするかもしれない。はあ、明日からはまたひとりぼっちになるのか…

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