第20話 後 欲深い
「店主さん…」
じーっ。
「あ、ごめん。お嬢ちゃん、続けて」
「それで、あいつは、接近して来て…それで、粘着ボールと、閃光弾で、足止めしてて。それでもダメで、硬化薬と、反応速度を、上げる薬飲んで。それで、腕で攻撃を、受け止めようとしたら…」
「あ、なるほど」
「で、ボス部屋にでったら、追いかけて、来なくて。雑魚を閃光玉で、対処して。ここに、戻ってきた」
「大変だったな。痛かっただろう」
正直今こんな言葉聞きたくない。惨めになるから。
「店主さん、骨を、硬化する、薬とか、あります?」
「ないな。でもな、嬢ちゃん。あのダンジョン主の攻撃を防げる鎧は安くないぞ。それに、嬢ちゃんには重すぎる」
「私には、あいつと戦える、術はないですか?」
「だから、あのダンジョン主はeランクのギガンドモンスターだ。一人で、しかも、弱点も狙わないなんて…それに嬢ちゃんは前衛じゃないだろう。前衛なしじゃ無理だ。嬢ちゃんのところの魔法使いだって無理だから」
メアリーさんも…いや、一年前のメアリーさんなら無理かもしれないけど、今のメアリーさんなら…
「でも、そうだな。さらに防御力を上げたいなら、魔法に頼るしかないな」
「マジックコートか。でも、マジックコートの、効果時間は、短いし。ワンドに、セット出来る魔法は、三つまでですし」
「マジックコートとアンチマジックバリアとヒールでいいんじゃね?」
「でも、解毒も…」
「嬢ちゃんは相変わらず欲が深いね」
「欲深い? 私が、ですか?」
「違うか? 出会った時からそう思った。武器が全く使えないくせして、冒険者になりたがる。鎧もつけないのに防御力が欲しい。ドスだけでなく、ウングイスサウルスも全部倒したい。一人で、しかも弱点狙わずにダンジョン主を倒そうとする。魔法防御と、物理防御と回復魔法以外にも解毒魔法が欲しいのか?」
「そ、それは」
「おっさんは嬢ちゃんのことが嫌いじゃない。けどな、無茶してる嬢ちゃんを見るよハラハラするんだ。実は今ちょっと怒ってるんだ。出発する前にせめて一言言って欲しい」
「でも、言ったら、止める、よね?」
「止めはしないさ。一緒に行って、ボス部屋の外で嬢ちゃんを見守るだけさ。そうしたら何かがあったらおっさんが嬢ちゃんを助けられるだろう?」
「店主さん、ごめんなさい」
「嬢ちゃん、明日出発しよう」
「何処へ?」
「嬢ちゃんの仲間のところへ」
「…え?」
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