第16話 前 ヒバリとモグラ

「この子はヒバリ、召喚師だ。こっちはモグラ、盗賊だ」

「チース」

「おはよう」


召喚師に盗賊、と盾剣士か…変な組み合わせ。


「召喚師と言わなかった? 召喚獣、見せてくれないか?」

「いいけど。ほら、出ておいで」


植物? 植物も召喚獣になれるんだ…


「どのカテゴリー?」

「カテゴリー3だけど」

「さーん? この植物が?」

「ちょっと、メイ、失礼だぞ」

「すまん」

「気にしないで。あ、メイも確か、召喚師だったな。召喚獣見せてよ」

「いいだけど。出でよ、マイク」


マイク、元気でなによりだ。


「ほう、これがお前の召喚獣。カテゴリーは?」

「に、二だけど」

「はぁ? ニィーだ? はっ!」

「お前…」

「下らない喧嘩はやめろ」

「「下らないだとぉ?」」

「え?」

「そうだよ、カイル。これが、召喚師同士の挨拶だ」


あれ、ああ、まあ…私、召喚師じゃないし。


「カテゴリーが全てじゃないでしょ! お前のその植物、何できる?」

「色々出来るよ! 色んな煙吐き出せるんだ」

「色んなって、どんな?」

「毒煙とか、獣が苦手な匂いとか、色々出せるよ」

「ふん…」

「お前のワンコ何が出来るの?」

「ワンコだぁ?」

「ワンコでしょ?」

「狼だ! 素早くて、自分のすべきことをちゃんと理解出来るくらい賢い。氷属性色々便利だし」

「そうか、よりしくな、メイ」

「よろしく、ヒバリ」


ああ、本当に挨拶だった。私と出会った時、メイさんもそんなやりとり期待したのかな?


「ところでモグラ、盗賊って何? 暗殺するのか?」

「暗殺するのはアサシン。盗賊はそんなことしない」

「じゃあ、盗賊はなにするのか?」

「盗むんだよ」

「金を?」

「違う! 素材だよ、素材」

「どうして素材を盗む必要がある? 倒せばいいんじゃねぇ?」

「それだから脳筋は…違う、違う。無害魔物だってあるんだろう? 何でもかんでも倒せばいいものじゃないだろう。ハチミツを取るくらいで巣の蜂を全滅したいのか?」

「それは…まあ」

「そうだよ。モグラのお陰て受ける仕事の幅は増えだし、手間も色々省ける。本当モグラさまさまだよ」

「やめろ! はずかしーい!」


冒険者のやりとりって、なんか慣れないな。多分、存在感薄いと思われるでしょね。


「あ、そうだカイル、俺たち、クエスト受けだぞ」

「おお、どんな」

「ドスウングイスサウルス、及びその群の討伐。Fランクのクエストだったが、ウングイスサウルスの過度繁殖によりEランクに昇格した。ったく、金のことばかり考えてないで、ちゃんと街のことを考えて欲しいな。冒険者って、人を守る仕事だろうが」





後書き

ウングイスとサウルスはラテン語です。ウングイスは爪で、サウルスはトカケです。ヴェロキサウルスみたいな恐竜を想像してくれればいいかと思います。


これからもよろしくお願いしたします。

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