第12話 後 ワンド
「どうしてだろうな? おっさんもよく分からん。考えたことないからな。そうだな、あの弓は売れない商品なのだが、品質もいいし、杖としての使い道もあるんだ。だから、嬢ちゃんがおっさんを信じてくれた時は結構嬉しかったよ。仲間と喧嘩した時も、おっさんを頼ってくれた。それにさ、嬢ちゃんを見ると、また冒険に出たくなる」
「店主さんは、冒険者だった、のですか? 」
「そうだよ、でも、冒険してる間にアイテムに興味が湧いて来て、金を貯めてお店を開いた。嬢ちゃんも分かるだろう、アイテムの重要性。だから解毒のワンドを借りに来ただろう」
あれ? でも、これって普通じゃないの? 討伐目標が毒を使って来るなら毒対策は当たり前なんじゃ…
「アイテムを使わない人はいないと、顔に書いてあるよ」
あっ!
「遂に分かった、先の問題を答えよう。なんて嬢ちゃんに優しくするのか、だな。嬢ちゃんは昔のおっさんに似てるんだ。昔、おっさんの仲間に、毒液なんか避ければいいと言うヤツがいてな、結局どうなったと思う? 死んだよ。武器や、杖、召喚獣や、薬などが冒険者に多用されてるが、ワンドや、閃光玉などのアイテムは軽んじされてる」
うん、命がかかってると言っても、手間がかかることはしたくない人も多いからね。多分だけど、カイル兄さん達はギラティネが毒を使えることも知らないでしょ。
「あいつらはさ、どんな相手にでも同じ戦い方しかできないんだ。頭悪いくせに何故かこっちを見縊るんだ、でも気にしじゃダメだよ」
その通りだわ、私の弓がなければダンジュン主は倒せなかったのにな…
「さあ、これが解毒ワンドだ、ワンドだから魔力は消費しないけど三回しか使えないんだよ、大事に使ってね」
うん? 三回?
「あの、店主さん、三回しか、あの、つまり、えーと、三回使ったら、このワンドは…使えなくなるの? 」
「そうだよ」
「でも、店主さん、ダメです、これでは、借りと言うより…」
「いいんだ、貰っとけ」
「ダメですっ! 店主の好意に甘えてばかりで…」
「おお、早口」
「そんなの貰えません」
「いいんだよ。あ、そうだ嬢ちゃん、もし冒険者をやめたくなったらこの店で働くのはどうだ? いつでも歓迎するよ」
「あ、うん、考えておきます」
剣は使えない、魔法使いになるには魔力がちょっと足りない、召喚獣も…うん…こんな私でも戦える方法があるんだ。明日頑張ろう!
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