第12話 前 幼虫
明日、ギラティネを討伐しに出発するけど、今日は自由活動。
皆が何をしているというと、カイル兄さんは稽古してる。メイさんは召喚獣と戯れて…うん、まあ、訓練してる、のかな? メアリーさんは家に居る、何をしているまではわからないけど…
私は何をしているというと、図書館でギラティネと魔法について色々調べている。このギラティネというのは結構やばい。ギラティネは元々bランクの魔物で、硬い殻、強い毒を持つ、見た目も、うん、怖いし…
ギラティネは卵生で、一度に沢山のたまこを生むの。たまこを背負ってるギラティネはより凶暴となり、aランクに分類されてるんだけど、時々たまこが背中から落ちる。その落とされたたまこが孵化したのは、今回の討伐対象、ギラティネの幼虫だ。
幼虫の殻は成虫の殻よりずっと柔らかかったけど、鋼の刃を簡単に弾けるのでしょうね。もちろん私の矢もギラティネの殻を貫くことはできない。メイさんの槍と召喚獣も厳しそう。もしカイル兄さんの武器も駄目たったら、メアリーさんの魔法を頼るしかない。
魔法についても調べた、全体魔法は単体魔法より全然難しいから、メアリーさんの魔法の巻き添いを食らうのは心配いらないと思う。
となると、残った問題は一つだけ、毒対策だ。今解毒薬を買うお金がない。毒対策は無理でしょ、とは言うものの、毒対策なしでギラティネを挑むのも無謀だ。私が何とかしないと…
「店主さん…」
「おや、お嬢ちゃんではないか。どうしたの? 」
「あ、あの… 」
「何だい? 」
「えーと、私達は、ギラティネの、あ、えーと、幼虫の方の、討伐依頼を、受けたのですが」
「おお、凄いじゃん」
「えーと、つまり… 解毒薬が買えなくで…あの、厚かましい…お願いなのですが、解毒のワンドを、貸してくれない…でしょうか? やはり、駄目…ですか…では、これを…」
私が持っている価値があるものといえば、お母さんがくれた結婚腕輪しかない…仕方ない、か…
「お嬢ちゃん?」
「これは、お母さんがくれた結婚うで…」
「お嬢ちゃんっ! 貸すからぁ! 最初から貸すつもりだ! 」
「い…いいのですか? 」
「もちろんだ」
店主さんは本当にいい人だ、けれど、本当にいいのか? 店主さんの優しさに甘えっちゃて…
「あ、あの、どうして、貸してくれるの? 」
「それはまあ、お嬢ちゃんにお願いされたから」
「店主さん、どうして、そんなに、優しして、くれるの? 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます