第10話 口下手 前編
「入ってもいいよ、どうせお前達も私をパーティに入れたことを後悔するからな、あのパーティみたいに」
「期待はするけど、後悔はしないな」
「いいこと言うね、カイル」
期待もするけど、一番しなければいけないのは努力だと思うけど…
カイル兄さんも、メイさんもちょっと闘技会系なところがあるからな。きっとメアリーさんのことを構わず、前線に戦うのでしょ。そして、メアリーさんもきっと、カイル兄さんとメイさんを魔法に巻き込むのでしょ。私がなんとかしないと…
「あのね、今回の、ク、クエストの報酬の、使う方は、私に決めさせて、貰えない、でしょうか? 前回の報酬は、私のために使いました、それは、うん、分かってる。でも、今回は、あの…」
「ケイリ、何か考えがあるんだな、僕はいいと思うけど。メイ、メアリー、異論は? 」
「異論はないけど」
「ないわ、私とメアリーの装備はもう揃ってるし。私もお金に困ってる訳でもないし」
はぁ、よかった。え、私、カイル兄さんに信頼されてる。うん、ちょっと嬉しいかな。
「よかったね、メアリー」
「お姉ちゃん…」
「さあ、あなた達、ギルトカードを」
「どうぞ」
「おめでとう、ダンジュン主を倒したあなた達のパーティはeランクに上げました、受ける依頼はこちらになります」
eランクか…装備もちゃんと揃っていないのに…
「カイル、この依頼、百足乱舞オオムカデ、ギラティネの討伐、やってみる? 」
「せっかくメアリーが入ってだし、ギガント魔獣の討伐よりも、魔獣の群れの退治がしたい」
「一理ある」
え? もうeランクの依頼を受けるの? メアリーさんのことはまだよく分かっていない。メイさんと違って、メアリーさんは魔法使いだ。メアリーさんの詠唱時間、魔法の範囲を知らないままeランクを挑むのは危険だと思う。
「あの、eランクは、ちょっと早い、だと思う」
「ケイリ、前に倒したダンジュン主もeランクのギガント魔物だったよ」
「そうだよ、ケイリ、僕達は強いよ、自信を持って。メアリーにいいところを見せないとな」
「は、はあ…」
そう言う問題じゃ…いや、私の言い方が悪かった。
「あの、メアリーさんと、一緒に戦うのは、これが初めて、もう少し簡単なクエストを…」
「心配しすぎじゃないか? メイの時もちゃんとダンジュン主を倒したし」
「ケイリ、こんなクエスト、私とカイルだけでも問題ないと言うのに。ケイリは心配性すぎ」
「ち、違う…」
あ、思うことをちゃんと言えない自分が憎い…
「違うのか…ケイリ、焦らなくてゆっくり話そう」
カイル兄さん…そう、私の言うことをちゃんと聞いてくれるのは、いつもカイル兄さんだけ…
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