第9話 魔法使い

買いすぎでお金が一気に減ってしまった、けれど、ダンジュン主のリスポーン期間は30日、なので、私達は依頼を受けることにした。


そして、私達はギルドに行った。けど…


「メアリー、いつまで、そうしているの? 」

「…」


受付嬢、取り込中かな?


「メアリー、お願いだから心配させないで」

「お姉ちゃん、でも…」


受付嬢の妹さんは冒険者みたい。うん、空気が重い…


「依頼を受けに来たけど…」


メイさん、空気読めよ…


「あ、ごめんなさい」

「あ、いや、こちこそ、邪魔して悪かったな」

「いえいえ、あっ、君達、もしかして、ダンジュン主を倒したあのパーティ? 」

「そうだよ」


お、周りに注目されてる。


「頼みたいことが…」

「お姉ちゃん、やめて」

「メアリーは黙ってて、あの、君達のパーティに、メアリーを入れて貰える? 」

「お姉ちゃん、だから私はもう誰のパーティにも入らないって、言ったでしょ? 」

「メアリー、お願い! 」

「お姉ちゃん、私はワカママを言っているわけではないって、分かるでしょ」


メイさんと同じ、パーティを探しているのかな?


「カイル兄さん、どうするぅ? 」

「カイル、お前が決めて」

「僕が? 」

「カイル兄さんは、リーダー…だから」

「構わないよ、メアリーが入りたければ」

「入りたくない」

「メアリー… まったくこの子は…」


私達のパーティだけではなく、どんなパーティにも入りたくないみたいだね、どうしてかな?


「あの、どうして、入りたく、ない、ですか? 」

「メアリーは確か、才能とか言ってたね」

「うん」

「サイノウ? 」

「うん、君は剣士みたいだね、じゃあ聞くけど、剣の才能とは、なんだと思う? 」

「太刀筋とか、反応速度とか、あと状況判断能力だと思う」

「状況判断能力、反応速度と太刀筋、そう言ったよね? 」

「そ、そうだけど」

「状況判断能力と反応速度、それは別に剣士だけでなく、魔法使いにだって求められてる素質だと思う。剣士は反射神経だけで戦う事も出来る、けど、基本的に魔法使いは詠唱しなきゃ魔法は発動出来ない、詠唱に入ったあとのことを考えなくちゃならない。つまり、魔法使いは剣士より状況判断能力が求められている。太刀筋だって訓練や、人に教わったら身につけるものでしょ? ところが、魔力の量とか、使える属性とか、生まれた時から決まったものこそが、才能と呼ばれると私は思う。だから、私は魔法使いに成れない人こそ、他の職業にすると思う」

「言ってくれるじゃない」


でも一理あると思う、召喚士もそうだ、生まれた時から全てが決められている。だからこそ、手に入らないものを求めるより、持てるものを上手く使うのがいいと思う。

けれど、持てる才能は必ず欲しい才能とは限らない…


「前にもパーティに入ったことがあったが、魔法一つで終わらせる戦いに、他のメンバーの顔を立たせると言って、全然戦わせてくれないんだ。遂に、私は我慢出来なくて、パーティメンバーごと攻撃した…勿論すごく怒られたよ、でも反省はしていない、むしろ…」


うわ、いくらなんでもそれはいけないでしょ…


「だからどこのパーティもこの子を入れてくれないの」

「お姉ちゃん、言ったでしょ、パーティに入らなくでも大丈夫だって」

「でもいつかメアリーが帰ってこないのが心配で心配で仕方がないのよ 」

「お姉ちゃん…」


気持ちも分からなくもない、カイル兄さんが旅に出ると知った時、私も凄く心配したよ、もう二度と帰ってこないと、もう会えないと思ったから。


「ケイリもよく無茶するから、気持ちは痛いほど分かる」


はぁ?


「カ、カイル兄さん? 」

「お互い妹で苦労してるんだね」

「はは」


酷いな、カイル兄さん…あ、いや、今は、うん、カイル兄さんとメアリーのお姉さんは妹について話してる、メイさんは多分、また才能について考えてるでしょ。メイさんは召喚士で、契約した召喚獣もそれほど強いわけでもないからな。


今、一番考えるべきのはメアリーさんのことだ。でもまあ、メアリーさんは悪い人じゃない、一見他人を見くびるような人に見えるけど、メアリーは多分、諦めてる、お姉さん以外の人を信じようとしない…


「あの、メアリーさん、範囲魔法の、あの、威力が単体魔法のより、低いと聞きます、それは本当、ですか? 」

「そうだけど」

「消費も高く、詠唱も長い」

「うん、まぁ」

「では、盾が欲しいと、思ったことは、ないのですか? 」

「ケイリ、いいぞ、もっと言ってやれ」


カイル兄さんは邪魔しないで。


「難しい依頼ほど、報酬は高い。危ないダンジュンだけ、ドロップが豊富、分かるでしょ? 」

「…」

「魔法使いは、元々、前線に出るべきでは…でも、出番はちゃんと、はい」

「いや、でも…」


無駄か…気にしているのはそこではなかったのか? そうね…


「もしかして、お姉さんから、離れたく、ない? とか…」

「あ、いや、それは…」

「メアリー、そうなの? 」

「いや、お姉ちゃん、それは…」


他人でしかない私の言葉よりも、お姉さんの言葉のほうが心に届くでしょ。


「私達のパーティは、いつでも、メアリーさんを、歓迎、しますよ」

「ああ」

「そうだよ、メアリー」

「私は…」


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