第5話 話し

「話って何? 」


うん、二人きりになったけど、何を話すべきか…


「そう…ですね、あたしは、カイル兄さんの足手纏いに、しかなりません、よね? 」

「そうだ、カイルは戦いの中でもお前を気にしてた、それじゃあいずれは死ぬ、君はカイルを殺したいのか? 」

「あたしが、居れば、カイル兄さんは、一流な冒険者に、成れない…そう、言いたいのですか? 」

「そうだ」

「メイさん、カイル兄さんのこと、心配しているん、のですね」

「まぁ、一応」

「カイル兄さんが、死んだら、メイさんは、悲しみますか? 」

「ああ、悲しむよ、だからケイリ、カイルを自由にして」

「他に、方法は、いないの、ですね 」

「そうだ」

「いいえ、あります」

「え? 」

「メイさんがカイル兄さんを守ってくれれば大丈夫、そうではないのですか? 」

「え!? 」

「メイさんは、カイル兄さんのことを心配している、そうですよね? カイル兄さんが死んだら悲しむよね、結局メイさんは口だけの人だったのですか? 」

「違う、あたしは…」

「なら良かったです、メイさんと、パーティを組められて、本当に良かった」

「あ、ちょ、はぁ、呆れた、ケイリって、こんな人だったのか…」


あ、つい。あたし、ムキになると、こうなってしまう。怒ると相手を無視始まるから、今は怒ってない。


「でも、ケイリが言っているのは正論だ、確かに、足を突っ込むには相応の覚悟は要るのね、分かった、君達とパーティを組むことにしよう」

「ありがとう、メイさん」

「普段も先のような早口で喋ればいいんじゃねぇ? 」

「それは…」

「言いたいことがあればはっきり言え、それと、敬語もやめな」

「あ、はい、そういえば、メイさん」

「メイでいいよ」

「うん、メイ、あのね」

「は、その喋り方、慣れるしかないのか…」

「あ、ごめんなさい」

「いいよ、でぇ、話したいことは? 」

「あ、はい、メイさ…メイの召喚獣のことについて」

「あたしの召喚獣? 」

「はい、メイさんも知っている通り、召喚獣はすきなタイミングで、召喚できるし、好きなタイミングで召還できる、よね」

「うん、そうだけど」


あ、何当たり前なことを言ってるの? って顔をしてる、やはり話すんじゃなかった。


「やっばりなんでもないです…あ、何でもない、よ? 」

「言いたいことがあるならはっきり言え」


カイル兄さんはこんなこと言わない、あたしの話しをちゃんと聞いてくれるのに。


「あ、はい、メイは、あの陣で、狼さん達の防御力を、上げている、よね」

「そうだけど」

「でも、あの陣は、狼さんには、ちょっと狭い過ぎると、思いま、思わないのか? 」

「あ、まぁ、あたしがもっと強く成れば、陣も大きく成れるんだけど、あ、痛いどころ突かれたな」

「えーと、違うの、あの…」

「はっ・き・り・い・い・な・さ・い! 」


だからこの人苦手だ、プレッシャーかけないでよ。緊張し過ぎて敬語になっちゃう。


「狼に攻撃させたい時、のみ、狼さんを出すのは、どう? 」

「あ、そんな手が有ったか…」

「それと、攻撃させる時に、陣を展開するのでしょ? そしたら、敵さんは、えーと、気付くんでしょ。周囲に、えーと、何処から出るのも、わかんない狼さんに、敵さんが、警戒してる時に、メイが攻撃して…えーと」

「あ、ごめん、あ、いや、ケイリって、ひょっとして頭が良かったの? あ、ごめん、ケイリのことを、ちょっとバカにしてた」


ひどい…いや、爽やかの顔でそんなことを言っても…


「ありがとう、ケイリ、さぁ、戻ろう、カイルに待たせたら悪いし」

「うん」


これでよかったのかな? メイさんを追い払いたいだけなのにな…でもまぁ、カイル兄さんを守ってくれるから、悪いことではないか。


「カイル、待たせたな、話しは済んだ、あたしは君たちとパーティを組むことにした」

「はぁ!? あ、いや、先までケイリと、あ、まぁ、嬉しいよ、歓迎するぞ、メイ」

「これからよろしくな、カイル」

「よろしく、メイ」


カイル兄さん嬉しそう。


カイル兄さんが小声で話しかけてきた。


「凄えよ、ケイリ、どうやってメイを仲間にしたの? すっげえ! 」

「あ、はは、ちょっと、な」


うん、カイル兄さんが嬉しそうで何よりだ。それで、いいん、だよね。


「おい、二人とも気を引き締めて、そろそろダンジョン主のお出ましだ」


ダンジョン主?


「メイ、あいつのこと、知っているのか? 」

「ああ、何度も挑戦したことがあるけど、アンデットはあの子達との相性が悪すぎてね、パワーアップ出来ないし、臭いし。遠距離で魔法を打って来る。それに、封魔の陣はまだ習得していないし」

「魔法か、僕、魔法を見るって、これが初めてかもしれない、ケイリもそうだろう」

「え、ええ」


挑戦するの、初めてダンジョンに入ったのに、いきなりダンジョン主?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る