第3話 ノロマ

「あの、あたし、召喚出来ませんの」

「どうして? 」

「あ、まあ」

「え? あたしに見せたくないか? 」

「いいえ、え、あの、召喚獣が、出てくれないです」

「そんなはずない、君の召喚獣って、どのカテゴリー? 」

「あ、カテゴリー一です」

「召喚獣のカテゴリーを知ってるということは召喚獣を感じることだ、さぁ、そこに扉があると想像してみて」

「あ、はい」


想像しじゃだめ、本当に出したら大変だから。


「その扉を開けて」

「ダメみたい」

「はぁっ、なるほど、君は嘘をついてるよね? 」


え? わざと召喚獣を召喚しないことがバレた?


「本当は召喚師じゃないでしょ? 」


お、そっちか…


「そう言うわけじゃ…けど、まあ…実際、召喚出来ない、しね」

「まだ嘘を認めないのか? 敬語は使わないでって言ったでしょ。それに、ケイリって、喋るのが遅い、何がイライラする」


メイさんのこと、ちょっと苦手かも。


「あたし、ノロマは嫌いよ」


あ、嫌われたか。でもまあ、必ずメイさんと組むわけでもないし、別に気にすることはないか。


「おい、ケイリは嘘なんがついていない! ケイリは召喚師だと言うことは村の誰もか知っていることだ、それに、僕は…とにかく、ケイリを傷つけることは言わないで欲しいな」


あたしは別に気にしていないけど。でもまぁ、カイル兄さんが怒ってくれたのがちょっと嬉しかったかな。


「まあいい、弱かったらさよならするだけさ。あ、カイル、一つ聞きたいけど、いい? 」

「いいよ」

「君は何の為に冒険者になった? 」

「僕の父は騎士なんだ、子供の頃は憧れたけど、酔った父の愚痴を聞いて幻滅した、騎士は色々縛られてるみたい、市民より貴族を優先しなくじゃならないとか。だから、僕は冒険者になった」

「冒険者はそんな立派なものじゃないよ、ダンジョンに潜って、魔物の素材を売るだけ、騎士ごっこするつもりなら傭兵でもなればいいのに」

「毒舌だな」

「腹黒よりましと思うけど。期待はしてないけど、ケイリ、君はなんの為に冒険者に

なった? 」


うん…正直に答えだら怒られそう、でもまあ、嘘をつくほどのことでもないか。


「カイル兄さんに誘われたから」

「呆れた、その程度の覚悟で冒険者になったのか? 」

「そういうメイこそ、どんなご立派な夢をおもちで? 」

「あたしはスノーブラックウルフで最強の召喚師になりたい、けど、カテゴリーというのは非常に不公平なシステムなんだ。カテゴリーの壁は越えられない、カテゴリー一のスライムやゴブリンは10匹が有っても、5匹のスノーブラックウルフに勝てない。五匹のカテゴリー二のスノーブラックウルフが、3匹のカテゴリー三のセイバートゥースライオンに勝てない。でも、これは野生の、契約してない魔物の話、契約した召喚獣は召喚師のスキルで強化出来るし、他の味方強化スキルでも強化できる。」


へぇ、ちょっと羨ましいかも、変な召喚獣ではなくて、メイさんみたいな普通な召喚獣だったらな。ちゃんとカイル兄さんのサポートを出来て、夢を抱けるようになったよね。


「だから、今はスノーブラックウルフが一対一でセイバートゥースライオンに勝てるように、自分とあの子達を鍛えてるよ」

「へぇ、偉そうな人だと思ったけど、結構尊敬出来るだな」


あたしもカイル兄さんに褒められたいな。


「あっ、はいはい、バカなこと言わないで、早くダンジョンへ出発するわよ」


大人だな、歳いくつかな?


これがダンジョンか、ただの洞窟ではないか? でも暗いな、何も見えないわけではないけど。


「どうしたの? 明かりをつけないのか? 」

「ごめん、ダンジョンがこんな暗いどころだと知ったら…」

「はぁ、呆れた、予備の明かり魔石があるから、貸してやる」


なんだかんだ言ってもメイさんは優しんだね。


「メイは優しんだな」

「ほ、褒めても無駄よ、パティーを組むかどうかは、君達の実力で判断するから」


なんが、カイル兄さんが他の人を褒めると、胸が…うん、でもまあ、別にメイさんではなくでも、いずれ他の女性とパティーを組むことになる、慣れるしかないか。


「へぇ、カイルは双剣使いなんだ」

「これは普通な双剣じゃないよ。そう言うメイこそ、槍か、てっきり鞭なとを使うと思ってた」

「バカ言わないで、あの子達を打ったりしないわ」

「あはは、冗談だよ」

「槍には味方の防御を上げるスキルがある、魔法適性が低かったからな、あたしなりにあの子達を強化しようと、色々頑張ってるのよ」

「凄いだね」

「はいはい、バカなこといわ…あっ、話は後だ、さぁ、魔物のお出ましだ」


ゾンビ!? 初心者向けのダンジョンだからてっきりスライムか、ゴブリンかと思った。でもまあ、あたしは戦わないから別にどうでもいいか…

うん…でも、このゾンビはゾンビと呼ばれてるけど、別に死んだ人間がなった魔物ではない、だから、ちょっと弓を試すのも、いいかな。


「出でよ、狼達よ! そして、槍スキル、守りの陣! 」


あれがメイさんが言っていた、でも、狭い、半径三メートルくらいかな、陣から出ると効果は続けるのかな?

うん、狼さんが陣から出ない、出ったら効果がなくなるのね。狼さんかわいそう。狼さん5匹があんな狭いな陣から出られないだなんて。

それに、狼さんはスピードタイプでしょう、防御力を上げてもなぁ…


このメイさんはどうやらバカみたい?


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