第一部 魔王再臨

 プロローグ 醜い世界






 世界は美しい、と誰かが言った。


 この世界は美しいものに満ちている。だからこの世界は美しい、と。


 果たして本当にそうなのだろうか?


 この世界の多くは人に満ちている。


 世界が美しいと言うのなら、その多くを占める人間もまた美しいと言うことになるはずだ。


 だが私は、その人間が美しいとは思えない。


 人間とは利己的でありながら、生き汚く、自分とあからさまに違うものを排他して、自分より強いものにへりくだりながら内心で唾を吐く。


 その人間が美しい?


 一体なんの間違いだろうか?


 確かに中には素晴らしいと呼べる人間はいるだろう。いや、誰しも素晴らしいと言える一面を持っているのかもしれない。


 だが人間を構成している物はその美しいものと、そうではない汚いものだ。


 そして人は圧倒的に汚い要素の方が多い。


 だから人間は汚い。だから人間が作る世界は汚い。


 そして十年前、そんな世界は一度滅びに瀕することとなった。そのせいで人の醜い部分はより露わになったように、私は思う。


 汚いものは誰だって嫌いだろう。私だってそうだ。


 だから、私はこの世界が嫌いだ。だから私はこの世界を変えたい。


 どんな手を使っても。どんな汚い手段に手を染めても。


 私ならば、世界をよりよく変えられる。


 だがそれすらも叶わないならば――――――










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