第3話 ようこそCCCP
「きゃあああああああああああああああ!」
「…………あぅ」
リディアが乗る「ひこうき」という乗り物――鳥ではなかった――に乗せられ、今に至る。
空を飛ぶ感覚に驚きながら、最初はわくわくしていたのだ。この世界で人が空を飛ぶなぞ、
だが、いざ飛んでみるとそれは恐怖へと変わってしまう。
風を受けてがくがくと機体がゆれたときなんて、思わず叫びながら姉妹で抱き合ってしまった。あとでリディアから操縦している自分に抱き着かなかったのは良い判断だ。と真顔で言われたのを覚えている。つまり、それくらい私たち姉妹は恐怖で暴れていたと言える。
でも、しばらくして落ち着いてから見た景色は――白と青のみ。何もない。不毛地帯だとは分かっていたが、ここまで何もない様を見せられてしまうと、自分がいかに無謀な賭け出ていたか恥じ入ってしまう。危うく、妹のルーシヴィアまで死なせるところだったのだから。
少し落ち込み気味の自分に目ざとく気づいたのか、ルーシヴィアは私にぎゅっと抱き着いて何も言わなかった。ああ、この温もりを守るためなら、なんだってしてやろう。たとえ、悪魔に魂を売ってもだ。
「その、ソビエト連邦というのはどんな国なの?」
「そうねえ、私が説明するよりも直接見た方が早いかも。カーロッタちゃん、ルーシヴィアちゃん。前の方を見てごらん」
「あ、あれは!?」
「……すごく、大きいです」
猛スピードで空を飛んでいるせいで、いまいち距離感はつかめないが、その全容は「大きい」の一言につきた。「書記長曰く四国くらいの大きさ」らしいが、四国とは何なのかこの場のだれも知らなかった。
「中央軍事軍管区に降りるわよ。衝撃に気を付けて」
やがて大きな空港の滑走路へと降下していくと、激しい揺れと共に地面に接着する。慣れない私と妹は目をぎゅっとづぶって抱き合うが、やがて振動がなくなり止まった。
ふらつきながら
『ようこそ
冗談のような横断幕を掲げながら拍手で迎える先には、ひげ面でニコニコ笑うオッサンがいた。周囲には大勢の人々が囲んでいる。
どうしたものかと私たち姉妹が顔を合わせると、リディアが青ざめているのに気付いた。ただのひげのおっさんにしか見えないのだが……。そう言おうとして――
「同志スターリン書記長! 御自らお出迎えくださり誠にありがとうございます!」
――言わなくてよかった。
※若いころのスターリンのアバターにしていましたが、設定を変えてやっぱりグルジアのひげおやじスタイルのアバターにしました。こっちの方が親しみやすいよね同志!
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