第3話 あの日から

 あの事件から約一年半が経とうとしていた。

 あれから、あたしと広瀬くんは学校内でよく話すようになり、今日もあたしは広瀬くんと仲良く話をしていた。

 学校の中庭で話していると、広瀬くんが唐突に真面目な顔をしてこう言ってきた。


「先輩、明日、空いてますか? 」


 それを聞いたあたしは、びっくりした。


「え!どーして?な、なんかあったっけ?」


「いえ、別に。ってか、なんでそんなに慌てているんですか? 」


「あっ、え、あ。いや、その。ほら、ちょうどあたしも明日時間あるか聞こうと思ってたから、広瀬くんに 」


 そう、あたしは明日、広瀬くんとの大事なイベントが控えているのだ。


『バレンタイン』、というイベントが。


「あ、なるほど。だからだったんですね!」


 ……広瀬くんはエスパーですか。って一瞬思っちゃったじゃない!ほんと、広瀬くんってタイミングが良いというか、悪いというか……。


「で、大丈夫?明日 」


「もちろん、大丈夫ですよ。じゃあ、明日の放課後、よろしくお願いしますね、先輩 」


 そう言い残し、広瀬くんは中庭を去っていった。


 ……よし、明日のバレンタイン、頑張らなくちゃ!!

 改めてそう決意したあたしだった。

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