stage 37 密教パンテオン② -Kazu side-

『プラーナ通信〜第五号〜』

〜シャンバラ密教のパンテオン②〜


「マンジュシュリー(文殊)」レアリティ★★★★★


真言:オーム・ア・ラ・パ・チャ・ナ


 世界で崇拝される諸菩薩のなかで、文殊、観音、金剛手の三尊は別格の存在だ。観音が慈悲の菩薩であるのに対し、文殊は智慧の菩薩として、日本でも「三人寄れば文殊の知恵」と、多くの信仰を集めてきた。

シャンバラ密教のアラパチャナ文殊は、身体が赤金で、右手に剣を振り上げ、左手に「般若経」を持つスタイルで描かれている。



「ダーキニー(荼枳尼)」レアリティ★★★★★


真言:オーム・ヴァジュラダーキニー・フン・パト・スヴァーハー


 「荼枳尼」とはサンスクリットのダーキニー(Ḍākinī:集団・種族)を音訳したものだ。

本家ヒンドゥー教のダーキニーはシヴァ神の妃、カーリーの従者で、人肉を食べ、裸体で空を飛び回る恐ろしい魔女だ。この伝説が日本に伝わり、土着の稲荷信仰と習合したことで、白狐に乗る天女、荼枳尼天が生まれたと言われている。

シャンバラ密教のダーキニーは、妖艶な舞を躍りながら虚空より現れ、絶妙な膣圧コントロールを武器にタントラ行者をシッディへ導く。



「ガネーシャ」レアリティ★★★★★★★★


真言:オーム・トラン・タ・タ・タ・フン・ジャ・スヴァーハー


 ガネーシャはヒンドゥー教の神の一柱で、その名はサンスクリットの「ガナ」(群衆・魔神の群れ)と「イーシャ」(主)を意味する。

この尊格はシヴァとパールヴァティーの息子であり、チベット、中国、ネパール、東南アジアなどでも広く信仰されている。

シャンバラ密教のガネーシャは、象の頭を持つ太鼓腹の男女が大ネズミの背中に乗って抱擁を交わすデザインで描かれている。



「カーラチャクラ(時輪金剛)」レアリティ★★★★★★★★


真言:オーム・アーハ・フン・ホーホ・ハン・クシャ・ハン・クシャ・マラワラヤ・スヴァーハー


 カーラチャクラはインド後期密教の最奥義、時輪タントラの主尊であり、伝説の理想郷シャンバラ王国の教主だ。

「カーラ」は時間、「チャクラ」は輪を意味する。つまり、時の輪の中で生滅を繰り返す現象世界を象徴する。

この尊格は身体が黒色、四面三眼二十四臂二足の姿をし、妃のヴィシュヴァ・マーターを抱く姿で描かれる。また、金剛鈴や金剛杵、斧、弓、矢などを持物とし、足元に邪教の悪魔どもを踏みつけている。

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