stage 29 シャンバラクエスト -Kazu side-
『プラーナ通信~第二号~』
~話題沸騰!教団公認の"修行アプリ"とは?~
カズ「こんにちは。インタビュー二回目の今日は、トップセールスに輝いた人気スマホアプリ、"シャンバラクエスト"についてお聞かせください」
ヒロ「本アプリの最大の売りは、ゲーム感覚でシャンバラ国に入信できるところです」
カズ「入信?」
ヒロ「ええ。入信といっても、この時点ではアプリ信者の扱いなので、お名前とメールアドレスだけの登録で結構です」
カズ「アプリ信者ですか・・・。その方々は、いったいどのような活動をなさるんでしょう?」
ヒロ「アプリ信者様には、"在宅用のカリキュラム"に沿って瞑想修行に励んでいただきます。このカリキュラムは初心者向けの簡単な座法から始まり、呼吸のリズム、心の持ちようまでをゆっくりと音声ガイダンスする充実の内容です。2~3週間も経つ頃には、頭の中がずっとクリアになる感覚がつかめるでしょう」
カズ「なるほど。しかし、失礼ながらそれだけのコンテンツでトップが取れるとは到底思えません。スマホアプリ業界は利益率が高いぶん、甘い世界ではない・・・」
ヒロ「ハッハハハハ。相変わらず鋭いですね。焦らずに行きましょう。今から順にシャンバラクエストの目玉である有料コンテンツをご紹介します」
カズ「お願いします」
ヒロ「先ずは、日々の修行内容を記録する管理手帳機能です。当オプションをONにすることで、ユーザーの行動データが教団のサーバーに自動アップロードされ、修行の進捗度を確認できるようになります。また、心に迷いが生じた際には、アプリ経由のチャット相談サービスが使えます。このように、管理手帳機能と遠隔修業サポートを上手に利用すれば、我々と対面せずともご自身のペースでステージ(階梯)を高めていけるでしょう」
カズ「通信制で本格的に密教ヨガが学べるのは助かります」
ヒロ「まだまだこんなものじゃありませんよ。ここからは、実際にアプリを操作しながら話を進めてまいります。カズさん、お手持ちのタブレット端末の画面右下にある、"ガチャ"というアイコンをタップしていただけますか?」
カズ「あ、はい。このマニ車のアイコンでしょうか?」
※マニ車=チベット密教で用いられる仏具。内部にはロール状の経文が納められている
ヒロ「そうです。すると"
カズ「おっ、出ました出ました」
ヒロ「SKYとはガチャを回すための専用ポイントです。1ポイントは1円で換算されるので、ガチャで遊んでみたい方はリンク先のオンライン決済サービスでクレジットカードの登録を済ませてください」
カズ「・・・・・・」
ヒロ「突然ですが、ここで嬉しいお知らせがあります!皆様の熱い要望に答え、先日のアップデートでSKYのお求めにビットコインがご利用いただけるようになりました!」
カズ「・・・・・。ヒロさん?せっかく盛り上がってきたところですが・・・。なんというか、急に俗っぽい話になってきましたね。前回のインタビューとは雲泥の差を感じます」
ヒロ「そんなことはありません。マニ車を回す行為自体が功徳に直結するんです。さぁ、先に進ませてください。本日はカズさんのためにマニ車ガチャの11連続にチャレンジできる5.000SKYぶんを無料でチャージしておきました!」
カズ「・・・・・」
ヒロ「マニ車ガチャの回転アクションが終わると、筒の中から密教の仏たちが描かれたカードが飛び出します。現れたカードにはそれぞれレア度が割り振られておりますので、入手しづらいキャラクターが当たった日には喜びもひとしおです」
カズ「・・・・・・。レアカードが当たると特典でもあるんですか?」
ヒロ「現在、ヴィクラマシーラではレアカードを引き当てたユーザーを対象に、同デザインのキャラクターが主尊に座るタンカをプレゼント中です。贈呈式は予約殺到で半年待ちの状態ですが、星5以上の激レアを射止めた方は、スマホを片手に甲州市まで足を運んでください。僕らのアイドル、会える教祖ことアーチャリーともどもお待ち申し上げております。十分に供養されたシャンバラ製のタンカには高い霊力が宿るとされ、護持する者に必ずや莫大な現世利益をもたらすでしょう」
※タンカ=チベット文化圏で作られる仏画の掛軸
カズ「う~ん・・・。射幸心をあおる新手の霊感商法ともとれますが・・・」
ヒロ「人々を幸福へ導かなければ、それはただの霊感商法です。しかし、トップセールスに何ヶ月もランクインし続ける事実が、シャンバラクエストの霊験を物語っているのではないでしょうか。なかには全種コンプリート目前の廃課金者、あ、いえ・・、コアなファンがいらっしゃるそうです。カズさんも最強デッキを揃えて"俺tueee"しませんか?アッハハハハ」
カズ「・・・・・・。突っ込みどころ満載ですが・・・。今回はこの辺で。ありがとうございました」
ヒロ「ありがとうございました(合掌)」
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