【第四章】「シャンバラ王」降臨!
stage 23 ヴィクラマシーラ -Naoki side-
開山を明後日に控えた教団新本部の「ヴィクラマシーラ」では、掃除や片づけに追われる信者たちに混ざって、カリンとヒロも額に汗を光らせていた。
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『ヴィクラマシーラ大学』(ヴィクラマシーラだいがく、Vikramaśīla University)とは、現在のインド、ビハール州東部バーガールプル県(英語版)に存在した大学。
西方のビハール州中部にあったナーランダー大学と共に、後期インド仏教の主要な拠点となった。
ヴィクラマシーラ僧院、ヴィクラマシーラ大僧院、超岩寺、超戒寺とも。
※引用「ヴィクラマシーラ大学」『フリー百科事典・ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2018年3月4日11時(日本時間)現在での最新版を取得。
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ここ山梨県甲州市塩山の土地はL&M作戦でお世話になった雨宮氏より借り受けた場所だ。50人以上が集えるメイン道場と宿泊設備の整った真新しい建屋はなかなか壮観である。
「おいカリン!仮にもお前はシャンバラ国の教団代表なんだ。細けえ仕事は信者たちに任せておけって。威厳ってもんが感じられねーよ」
「お言葉ですがナオキさん。そんなに威厳が大切なら、皆さんの前でカリンなんて呼び捨てにするのは止めていただけます?ただでさえヤクザみたいな風体なんですから。サマナたちが怖がりますよ。アッハハハハ」
「お、おう。そりゃそうだ・・・。ってオイ!お前も言うようになったなぁ・・・」
「遠慮するなっておっしゃったのはナオキさんですよ。とにかく私は好きにやらせてもらいま~す。キャハハハハ」
そんな二人のやり取りを遠目から見ていたヒロが、掃除に戻ったカリンと入れ替えでやってきた。
「アーチャリーは変わりました・・・。いや、これが本来の姿なんでしょうね。やっぱり人には天賦の才を活かせる場所あるんです。彼女の納まるべき場所は教団だったっんですよ」
「納まるべき場所か・・・。おっ、そういやそろそろご本尊様が到着する時刻だな。それこそこっちが納まらねーと話になんねーからよ」
「いよいよですね!」
「ヒロ、神様の正体をカリンにチクってねーだろーな?」
「もちろんです!喋りたくてウズウズしてましたけどね。きっとアーチャリーは腰を抜かしますよ」
「フハハハハハ。あのヤンチャ娘に目にもの見せるやる!」
※ ※
ヨシキとアルチャナが乗ったハイエースがヴィクラマシーラの駐車場に着いたのは、それから2時間も後だった。
「遅かったじゃねーか!」
「すみませんナオキさん。帰り際に部長が緊急会議だなんて言い出すもんで・・・。それに、買ったばっかのナビがバグって塩ノ山を2周半も回っちゃいました。ここには特殊な磁場でもあるんすかねぇ」
「ケッ!なにが会議だ。社内SNSでゴーゴーの女に金送ってるって暴露しちまうぞ。バイアグラなしじゃチンポがおっ勃たねえこともな。アハハハハハ」
「ちょ、ちょっとナオキさん!アルチャナは日本語ペラペラなんすよ。ドン引きじゃないっすか・・・」
「フフッ。お疲れ様ですボス」
「お、わりぃなアルチャナ。そのルックスで日本語ペラペラだなんて普通は想像つかねーよ・・・。デリカシーに欠けてました。ごめんなさーい」
「いえいえ。さあ、すぐに安置にかからないと間に合いませんよ」
「セッティングに時間くいそうっすね。今夜は彼女と徹夜っす・・・」
「ん?待てヨシキ。今の彼女って言い方が妙に引っかかるんだけどよ。もしや、お前ら・・・」
「まいったなぁ・・・。ホント、アニキは勘がいいっすね。お察しの通りです。はい。オレら二人は付き合い始めました~。アハハハハ」
「そ、そうか・・。ったくこの面食い野郎が。別にどーでもいいんだけどよ・・・。あれ?でも、いまいち腑に落ちねーぞ。お前はたしかゲ・」
「ストップ!!余計なお節介です。オレもカリンさんを見習って止まった時計を前に進める時期が来たってことっすよ」
「フッ。勝手にしやがれ」
(よくやった・・・。よくやったぞ弟よ!これでめでたくアヤカ姐さんとの青春物語に終止符が打てるな・・・)
※ヨシキとアヤカは中学校の同級生。詳細は前作を参照のこと。
※ ※
「カリン!待望のご本尊様がお出ましになったぜ。起動予定の朝方までに儀式の準備を整えてくれ」
「起動・・・?うちのご本尊様はカラクリ人形かなにかなの?」
「ハッハハハハ。それは見てからのお楽しみ!ドラえもん並に高性能な未来ロボットかもしんねーぞ」
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