stage 06 因縁のラオス -Naoki side-
スワンナプーム国際空港を飛び立ったエアバスA319の機体は、わずか一時間ほどで着陸態勢に入った。
「なんだかんだで3度目のラオスか・・・。退屈させない国だぜ」
雑多に並ぶ田畑と茶色く濁るメコン川を見下ろしていると、L&M作戦の奮闘がつい昨日のように思い出された。
まさか、あの土壇場でひらめいた無茶苦茶な計画が本当に動きだすとは・・・。
アニキはいつか、俺にこんな話を聞かせてくれたことがあった。
この世の全ては幻影だと。
全てが幻影であるのなら、どんな未来だって映し出せるはずだと。
どうせなら、誰もがぶったまげるシャングリラを見せてやりたい。
「カズさん。俺がアニキに最高のスクープを書かせますよ・・・」
※ ※
熱心な客引きたちを掻き分け、ワットタイ国際空港のエントランスを抜けると、ポケットに手を突っ込むジンが立っていた。
「ようこそラオスへ。ヴァンビエンまではコイツでぶっ飛ばせば3時間だ。後ろのクーラーボックスに冷えたビア・ラオが入ってる。退屈しのぎに好きなだけやってくれ」
ジンの案内でコンコースに停まるレクサスに乗ると、振り向いた運転手が頭を下げた。
(見覚えがある!)
「お前は・・。もしかして・・・」
「ああそうだ。コイツはレディーボーイに弾丸をブチ込んだマヌケ野郎だ」
「・・・・・・」
「ナオキ。恨んでるか?無理もないぜ。俺たちが住む世界じゃ仲間が撃たれりゃ必ず報復する習わしだ・・・。こんなガキンチョのヨンファだって覚悟はできてる」
「い、いや・・・。恨んでなんかいねーよ。それどころか姐さんは気に病んでたぜ。チョンボをやっちまった少年が、こわい親分からキツイお仕置きを食らったんじゃねーかってさ」
「フッ。ハッハハハハハ」
「可笑しいかジン?ついでにもうひとつ伝言がある」
「・・・・・・」
「全てを赦して・・・。だってよ」
「完敗だ・・・。お前らファミリーを敵に回さなくてよかったぜ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます