第46話月と繭

ケニー・ドーハムの、ロータス・ブロッサムのような、メロディ・・・


天使たちの、ラッパ、その、かわいた、かわききった、音色・・・


月の、ひかり、光線が、さしこむ。繭に・・・


月が、紅く、染まる。・・・灼熱の憤怒に、かられたように、・・・


血のような、いろの、光線が、さしこむ・・・


天使たちが、ほのおに、つつまれる、ちいさな、天使たちが、あつまって、おおきな、ひとつの、炎に、なる・・・、聖なる、火炎

灼熱の、正義の、怒り・・・ガンダムのビームサーベルのように、燃え上がる・・・


熾天使が、紅蓮の、ほのおから、あらわれる・・・グレン・グールドの、ゴールドベルグ変奏曲のような、音色が、どこか、気が遠くなるくらい、遠くで、鳴り響く・・・

アッシジの聖フランチェスコに、聖痕を、あたえたような、すこし、グロテスクな、血の匂いのする、熾天使・・・


壮絶な、血液や、肉の、臭気・・・焼き肉屋のにおいでは、なく・・・

ゴルゴタのおかで、十字架のキリストの、血の匂い、肉の香りに、つつまれているよう・・・

聖ヒルデガルトなら、ハーブで、この匂いを、消せるだろう・・・


鏡にうつった、鏡のように、無限の苦痛をたたえた、その表情・・・熾天使が、出現した、白熱光は、しかし、ひるまない、蛭のように、はいずり、収縮と膨張を、呼吸するように、くりかえす、風船のように、はりつめ、やがて、なないろに、ひかりだす、まるで、パチンコ屋の、看板みたいに・・・

嘲笑の、声が、響く、その、パチンコ屋の看板色の、グロテスクな、かたまりから。・・・・・・

ツービートの漫才の、観客の、わらいごえのように、あかるい、かわいた、騒音・・・


七色のひかりが、ひろがる、オーロラのように、虹のように、ジュディ・ガーランドの歌声がする、失神するくらい、遠くで・・・虹の彼方に

キース・ジャレットの、演奏・・・虹の彼方に・・・ピアノが、とおくで、なっている、いのりをこめて・・・

・・・・・・・・


笑い声が、拡大し、拡散し、こだまする、音と音が、ぶつかりあう、さらに、騒音に、かわっていく

蝿のうなるように、蝿の大群のように・・・・・。


白熱光の、その、虹色のなかから、ベルゼバブが、蝿の王が、出現する


微笑をたたえた、表情の、蝿の王・・・


少女たちは、夢をみている・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る