第29話月

いたんだ、つばさは、すてたよ

と、ライオンは、ひとりごとのように、つぶやく。


つばさを、すてたら、石になった

と、ライオンは、いう


猫が、火を吹く。火は、翼にかわる。極楽鳥の、はねのよう。

白い孔雀が、羽をひろげたよう。

白熱した、つばさ。ライオンは、そのつばさで、飛び去った。


小人が首をひねる。少女は、ライオンがいなくなった道を、すすむ。


都市がみえてくる。月、が、でている。


月の光、の、照らされ、た

都市の、すがた

塔がたちならぶ。そらを、なにかが、とんでいる。

鳥、龍、たこ、・・・。それが、なんであれ。


ライオンだって、空を飛ぶ、猫だって。


都市には、月の光が、満ちている。ベートヴェンも、ドビュッシーも、およびじゃない。しずかさ。沈黙。


網の目のような、小路。住居に、人気はない。人間の都市では、ないのだから。

空には、なにかが、飛んでいる。こいつらが、ただの背景じゃないなら、舞い降りてくるだろう。・・・。

少女は、空を見上げる、月が、おおきい、月が、浮かんでいる。

なにかが、よぎる。

なにかが、舞い降りる。物語りに、参加する。そでから、あらわれて、舞台に、あらわれる。


そいつは、舞い降りたのは、魔法の絨毯にのった、かいぶつ。角がはえた、豚みたい。


少女が、魔法をつかう。

豚やろう、はじけとぶ。

はんだんする前に、やっつけた。いいやつだったかもしれない。


腐臭がする。たばこ、酒、そういうのも。そんな臭気がいりまじる。結果的に、邪悪な存在。やっつけてしまった。それでせいかい。


べとべとの、通りを、すぎる。

月の光。


噴水がある。月の光のなかに。


その都市は、それだけだった。静かだった。いい静かさじゃない。清潔だった。虚栄にすぎない。表面的にはきれいだった。


旅がつづく。宝石が、みちびく。

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