♯58 死闘






 城門へ辿り着いたハルマキはちらりとローズを見た。鬼と激しく戦っている。ハルマキは城内へ足を踏み入れた。


 カムイと悪魔の剣士がにらみ合っている。ハルマキはその横を素通りした。


 曲線を描く階段を駆け上がり、二度目となる王の間へ通じる大きな扉の前に立った。


 あの時とは違う。疲労感もない。ハルマキは扉を蹴った。








 「また来たのか」


 冥王は玉座に座ったままだ。


 「あぁ。……お前を殺す」


 ハルマキの眼光が鋭くなった。そして体から鋭利な刃物のような魔力が吹き出した。


 冥王は立ち上がった瞬間に、ハルマキの姿が消えた。冥王の鎧に斬撃が刻まれた。鎧に傷が付いた。そして兜に亀裂が入った。


 「なかなかやりおるわ。……冥土の土産じゃ、名を教えてやろう。我が名はゼラ」


 





 ハルマキは背中に炎の翼を出現させ、更に速くゼラに斬り込んだ。だが、巨大な剣に防がれた。


 距離を取って再びゼラに向かっていった。剣を交わして鎧を纏った腹を深く抉った。


 ゼラは呻き声をあげた。


 ハルマキは間髪いれずにゼラの首元目掛けて剣を振った。ハルマキの剣は途中で止まった。違和感のある自分の腹を見た。巨大な剣に腹を貫かれていた。血が滝のように床に落ちていた。


 ハルマキは血溜まりの中倒れた。






 

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