♯56 集結
ハルマキを背負ったローズは城門を抜け、近くの森に移動した。
そこで信じられぬ光景を目の当たりにした。
リディア、アニス、ルナ、ロキ、ジャンヌ、ダンテ、マルダ、グレン、ギル、エルフの族長、そしてカムイがそこに居た。そうそうたる面子だ。
「お前ら、石化が解けたのか?」
これにはエルフの族長が答えた。
「里の者は皆無事だった。結界を常に張っているからな。ローズが訪ねてきたんだ。石化を解く薬はあるかと」
「残念ながら僕一人じゃ冥王は倒せない。だから君たちを利用することにしたんだ。……そろそろ降りてくれないかな」
ローズは手を手解き、ハルマキは尻餅をついた。
「いってぇな……。性格ゴミ野郎」
「そうきたか。じゃあ君はクソ虫くんだね。弱いから」
二人の間に殺気が入り交じる。
それを気にも止めずにリディアが微笑みを浮かべてハルマキに歩み寄った。
「よく一人で戦ってくれました。……今度は私達も一緒に戦います」
皆が女王に応えるように武器を掲げた。
「また戦争か……。いつになったら平和になるのかな」
ハルマキの呟きに皆は顔をしかめた。
砂の国の女王マルダがそれに答えた。
「戦争が起こる度に国は強くなってくもんだ。二つ名が全員揃っただろ?それが答えになってるんじゃないかい?」
なるほど。ハルマキは納得せざるを得なかった。
「そうだな。……いつ攻め込むんだ?」
リディアは真剣な面持ちで言った。
「ハルマキさんの体力と魔力が回復したら、すぐに」
ハルマキは唐突に地面に横になった。
「じゃ寝るわ。寝てる方が回復は早いし」
リディアはそれに頷き、皆にも休むように言った。ハルマキが目を覚ましたら、セロリアと冥界の王との全面戦争が始まる。リディアの瞳に決意の色が浮かんだ。
──冥王城の目前に広がる荒れ地。二つの国の女王と二つ名たちが城を見据えて立っていた。
城の前には冥界の魔物が立ち塞がるように群れている。
「雑魚は無視していいんだよね?」
ローズの問いにダンテが答えた。
「あぁ。三人は冥王の元へ向かえ、雑魚は俺たちが引き受ける」
三人とはハルマキ、ローズ、カムイを指した。神の名を持つ者の意味はまだ解っていないが、鎧を纏った三人の魔力は計り知れなかった。リュークとの戦い以来、三人とも鎧を出現できないでいた。
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