♯42 弾む心


 「ルナとロキも誘おうぜ!」


 カムイは旅行なぞ絶対に参加しないだろうし、ローズは論外だ。ルナとロキなら平和に旅行を楽しめる筈だ。


 「旅行は3日後か。急いで手紙を書きましょう」


 アニスがリディア宛てに手紙を書き始めた時、ハルマキが止めた。


 「大事な事だから、書いてくれ」


 アニスは頷いた。


 「平和な国だから、武器は絶対に持ってかないこと。ローブは裾が巻き込まれるから着ないこと。魔法は絶対に使わないこと。1m以上高くジャンプしないこと」

 

 アニスは必死にハルマキが言った言葉を手紙にしたためた。


 「あ、あと金は俺が用意する」


 アニスはリディア、ルナ、ロキにそれぞれに宛てた手紙を書き終えた。


 






 リディアから送られてきた小鳥と新たに二羽を取り出し、それぞれに手紙をくくりつけた。そして窓から放った。


 「3日後が楽しみだぜ」


 「私は注意書きの意味が分からないわ」


 「行けば分かる」


 






 日本への旅行の前日。ハルマキとアニスは買い物をするため町に出掛けていた。


 ハルマキはアニスの質問責めにあっていた。


 「食べ物はいるでしょ?」


 「いらない。どこでも飯食える」


 「寒いの?暑いの?」


 「日本の今の季節がわかんねぇ……。夏は暑いし冬は寒い」


 アニスは服屋に行き、全員分の厚手のジャケットを購入した。


 「どこで夜を明かすの?」


 「宿がある。ホテルっつうんだけど」


 アニスは頻りにメモを取っている。質問責めは酒場に帰ってからも続いた。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る