♯36 切れぬ糸








 強化された兵士とファントムローゼにハルマキ、ダンテ、ジャンヌが加わり押し寄せる魔物をひたすら倒していった。


 リディアは祈りを捧げていた。カムイの到着と、皆の無事を。


 「いくら体力と魔力が戻ってもなぁ。あぁ、腹へった」


 「文句言うな!みんな腹へってんだよ!」


 ハルマキはぶつくさ言いながら魔物を剣と炎で撃退してゆく。


 「どんどん出てきなよ!ははっ、殺し放題だ!」


 ローズは武神が宿ったように魔物の首を跳ね続けた。


 「首を跳ねるの快感だよ。気持ちいいよぉ」


 ローズの殺戮ショーを見て、皆は食欲が失せてゆくのを感じた。あいつとは絶対に分かり合えない。皆はそう思った。


 そして、日は落ちた。









 魔物の猛攻が止んだ。皆は束の間の休息をとった。


 兵士達も疲労の極みに達していた。


 ハルマキらも緊張感が抜けぬまま、集中している。


 リディアは皆を見て、ある考えが過った。


 「カムイさんは来ないかもしれません」


 皆がリディアに注目した。


 「ダンテ、ジャンヌ。そしてハルマキさんとローズさんにリュークを倒してもらいたいのです」


 ローズは声をあげて笑った。


 「待ってたよ……。ようやくリュークを殺せるんだね!」


 ハルマキはリディアに問うた。


 「いいのか?カムイを待たなくてリュークは倒せるのか」


 ロウが口を開いた。


 「予言には神の名を持つ三人とあるが、二人では勝てぬ。とは言っておらぬ」


 リディアは意を決した。


 「今は平原に魔物はいません。準備ができ次第、ハルマキさん、ローズさん、ダンテ、ジャンヌは城へ向かって下さい」


 四人は一斉に立ち上がった。


 「準備ならとっくに出来てるぜ」


 そして、城へ向けて全速力で走った。





 

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