♯33 処刑の刃








 城の前に5本の十字架を象った柱が植えられていた。ハルマキら城に残った5人が、それぞれの柱に一人づつ鎖でくくりつけられている。


 目を醒ましたハルマキは、体から魔力が消えていることを感じた。


 「その鎖は魔力を封じる。リディアの前でお前達を処刑する」


 リュークは甲高く笑った。


 ハルマキは仲間の安否を目で確認した。皆、酷く窶れているが無事のようだ。


 「聞いておるのか?この帝王の話を!」


 ハルマキの腹に鋭い爪が突き刺さった。歯を食い縛り痛みに耐え、リュークを睨み付けた。


 「不愉快じゃ、玉座に戻るとするかの」


 リュークは翼を羽ばたかせ、王の間へと飛んでいった。


 ハルマキはダンテに声をかけた。


 「おい、ダンテ」


 ダンテは気だるそうに顔を上げた。ハルマキは質問した。


 「何日経ったか分かるか」


 「4日だ」


 4日か、リディアらは地上へ出ている頃だろう。


 「女王は無事かな」


 ダンテは口の中の血の塊を吐きだした。


 「当たり前だ。……本心は逃げてくれたらいいのにと思ってる、だがあの人は絶対に俺らを見捨てたりはしない」


 ハルマキは頷いた。


 「あの女王、俺よりアホだからな」


 至るところから殺気が当てられた。


 「あんたよりアホな奴はいないわ」


 「お前がアホなら女王陛下は神だ!」


 「ダチの悪口言いたかねぇが、一国の主にアホはねぇぞ、アホ」


 ジャンヌは舌打ちした。


 ハルマキは皆から言われてしゅん、としてしまった。


 「なんだよ、お前ら元気じゃねぇかよ……」


 



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