♯29 友との再会








 アニスとハルマキはセロリア城に来ていた。特に用事はないのだが、暇を極めた末に城に辿り着いたのだ。


 ダンテとジャンヌは兵士の訓練を行っていた。


 ジャンヌは二人に気付き、ペコリと軽くお辞儀をした。


 「よっ、ジャンヌ。邪魔しちゃ悪いからもう行くよ」


 ハルマキの声を聞いて、ダンテが振り向いた。


 「お前も稽古をつけてやろうか?」


 「は?お前から学ぶ事なんて何もねぇよ」


 二人の間に殺気が立ち込めた。


 ハルマキはアニスに袖を引っ張られ、その場を退散した。


 次に二人が向かったのは、王の間。リディアは居るだろうか。


 豪華な装飾が施された扉を叩いた。中からリディアの声がした。


 アニスは扉を開いた。リディアは熱心に筆をとっている。


 「何かご用でしょうか」


 ばつが悪そうにアニスは答えた。


 「用事はないんだけど、その……。暇だから」


 リディアはクスクスと笑った。


 「あなたたちが暇を感じるのも、平和の証ですね。……夕食を一緒にとりませんか?ダンテとジャンヌも呼びましょう」


 ハルマキはうんうん、と頷いた。


 「じゃ、ご一緒させて頂くわ」


 二人は部屋を出て、宛もなく夕食の時間まで城内を歩き回った。


 すると、一人の騎士とすれ違った。


 「あ」


 ハルマキの声を聞いて、振り向いた騎士も同様に言葉を発した。


 「あ、ハルマキ!」


 「ギアンじゃねぇか!お前、セロリアの騎士になったんだな!」


 

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