♯21 二つ名の意味
城の平原には試合ができるステージが設けられていた。
平原の片隅には、戦争で死んでいった兵士が埋葬されている。
一際目をひく帝王リュークの墓。
「こんな奴に墓なんて」
ダンテは墓を睨み付けた。
女王リディアはリュークさえも哀れんだのだ。
ダンテは瞼を閉じて、城へ戻った。
「ちょっと待てよ、まだじいさん居るぞ」
3つのトーナメントが無事終わり、ハルマキとアニスに召集がかかった。店の常連のゼぺルという名の老人がまだグラスに酒を注いでいた。
「ゼペルさん、帰るとき戸締まりお願いね」
アニスはゼペルが座るテーブルに鍵を置いた。
「なんつー店だよ!ま、いいや。急ごう」
バタバタと二人が店から出た。
「なんちゅう店じゃ」
ゼペルは言いながらウィスキーを口に含んだ。
アニスとハルマキは一頭の飛竜に跨がり飛んでいた。
「見えたぞ」
巨大な城だ、遠目でもよく分かる。
徐々に近付いてゆき、城門の前に降り立った。
「すげぇ人……。中に入っていいのか?」
アニスは頷いた。
「行きましょう」
城に入るのは二度目だが、あの時は無我夢中になっていた為じっくり見ることはなかった。とても美しい綺麗な城だ。二人は門の中へ入り、廊下を進んだ。
アニスに先導され、豪華な門の前に立った。
「なんか、緊張する」
「何よ今更」
アニスは扉を開けた。書物に目を通している女王がこちらに気付いた。
「アニス、ハルマキさん。ようこそいらっしゃいました。こちらへ」
リディアに促され、部屋にある面談用のテーブルに腰掛けた。
「招待状には目を通されましたね?」
「あぁ。いや、はい」
「ふふ。いつも通りで結構ですよ」
「わ、分かった。なんで3つのトーナメントなんだ?」
「ハルマキさん、あなたの他に二人の二つ名が居ます。それはジャンヌとダンテです。この三人で優勝した三人がそれぞれ試合をします」
「なるほど。だから3つな訳か。でも、試合にはならないと思うぞ」
リディアは笑みを浮かべた。
「二つ名と戦うことは昔から栄誉なことなのです。あなたたちと戦いたい者はたくさん居るのですよ」
「そうだったのか」
アニスは呆れた。
「あんた今まで知らずに二つ名やってたの?」
「悪かったな、俺は孤独な旅人だったからな」
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