♯15 決戦







 リディアらは1万の兵士と合流し、城を目前にしていた。張りつめた緊張感の中、突入を待った。


 ハルマキは炎の翼を出現させた。結界が張られる前に城に入らなければならない。


 「皆さん、2年間よく耐えてくれました。……帝国を終わらせましょう」


 リディアの号令で一斉に城の平原へ攻め込んだ。


 ハルマキは全力で城を目指し飛んだ。


 平原の警備兵の何人かが、城へ向かうハルマキを捉え、叫んだ。


 「侵入者だ!」


 後続に伝わる前にハルマキは二階の窓を突き破り、城内へ侵入した。










 ──帝国城、王の間。


 一人の初老の男が髭を撫でている。部屋に兵士が飛び込んできた。


 「閣下、侵入者です!次々と兵士がやられています!」


 リュークは何事も無かったように言った。


 「構わん、シバが侵入者を外に追い出す。そしたら結界を張れ」


 兵士が立ち去るとリュークは遠くを見つめた。


 「リディアよ、やはり生きておったか」








 ハルマキは兵士を斬り伏せながら王の間を目指した。


 しかし、一人の男が立ちはだかった。


 「久しぶりだな、シバ」


 魔剣シバが大剣を持って立っていた。だが、様子がおかしい。目は白目を向き、息が荒い。とてつもない魔力を感じる。


 そしてシバは大剣を振り下ろした。爆風が巻き起こり、ハルマキは吹っ飛ばされた。そして窓に叩きつけられ割れた。そのまま城外へ出てしまった。


 「くそ!」


 ハルマキは空中で体制を整え、再び城へ突入しようとしたのだが、魔法壁に激しくぶつかり地上へ落ちていった。







 城の平原。警備兵を倒しながら、リディアらは平原の一角イッカクに陣取った。


 「直に50万の兵士が攻めて来る!気を抜くな!」


 ダンテは叫んだ。負ける事は許されぬ戦い、全身全霊で挑むのだ。


 「ハルマキさんが突入失敗したみたいですぅ」


 「そうか。ルナとロキはハルマキの元に行け!」


 名前を呼ばれた二人は兵士を倒しながらハルマキの元へ急いだ。


 「兵士が出てきたのぉ」


 ギルが巨大な槍を肩に預けた。50万もの兵士が城から溢れてくる。


 「ギル、グレン。なるべく数を減らしてくれ。ザアラの兵士は女王陛下の壁となるように陣を展開しろ!」








 ハルマキはルナ、ロキと合流して結界の弱い部分を探っていた。


 「どの辺がモロいとか分かるか」


 「術者の魔力を7階辺りから感じますぅ。上より下の方が脆いと思いますぅ」


 三人は兵士が待ち受ける地上へ降りることにした。


 「俺が兵士の相手をする」


 兵士の足元に剣の花が咲いた。


 「任せた!」


 ルナとハルマキは手探りで結界の脆い場所を探った。


 



 

 


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