♯14 騎士の策

 






 「女王陛下に代わって、俺が作戦を伝える」


 ダンテが城の見取り図を即席ソクセキのテーブルの上に広げた。


 「城の前には常時3万の兵士が警備している。俺たちが突っ込めば間違いなく城の中にいる兵士が出てくる、その数は47万だ」


 50万の兵士を相手にしなくてはならない。


 「一番近くの町に伝令が届くまでの時間はおよそ16時間。明日の明け方にはリュークを討たないと俺たちは終わりだ」


 ダンテは城の見取り図を指差した。


 「城に突入するには結界がない状態じゃなきゃ不可能だ。気付かれて結界を張られる前に突入してもらう。その役はハルマキ、お前がやれ」


 ハルマキは頷いた。俺がリュークの首を取るのか。


 「結界が張られたら、いくら俺ら二つ名が居ても突破は出来ない。なぜなら魔導士2千人が結界を張っているからだ」


 2千人が作る結界。たしかに突破は無理そうだ。


 「だから結界が張られる前にハルマキが城に突入して、リュークを殺すんだ」


 ハルマキは頷いたが、気になっていることを聞いた。


 「結界が張られたらどうするんだ?」


 「城はかなりデカイ。2千人が結界を張っているにしても、必ず脆い所はある。頑張って見つけろ」


 「俺一人でやるのか?」


 「いや、結界が張られ場合三人で突破口を探す。ルナ、ロキ、頼む」


 「はい!」


 「あぁ」


 「リュークの手の内は正直わからない。何が出てきてもおかしくないと思え。状況が変わる都度、俺が指示を出す」


 ギルは頷き、言った。


 「わしらは女王二人の護衛と攻めかな?」


 「あぁ、リディア女王陛下が討たれれば、その時点で負けだ。ギル、グレン、ジャンヌ、そして俺は必要に応じて攻守を切り替える」


 皆が頷いた。


 「ザアラの1万の兵はどこに待機させている?」


 これにはマルダが答えた。


 「ここから北の森だよ」


 「分かった。ロキ、ルナ、ハルマキで城の平原地帯に突入してもらう。なるべく兵士の数を減らせ。平原に陣を展開するからな。その後にザアラの兵士で壁を作る。……何か質問はあるか?」


 またしてもギルが発言した。このギルという老人、若い頃はリディアの父に使える騎士だった。還暦を迎え、マルダの元に辿り着いた。見かけは身の細い老人だが、列記とした二つ名だ。


 「伝令は放置かな?」


 「あぁ、俺たちにそんな余裕はない」


 「うむ、なかなか良い軍略じゃな。若いのに頼りにしておるぞ」


 ダンテは顔を手のひら扇いだ。


 「一応名の通った騎士だからな。……他にないなら、決行するが、いいか」


 皆の瞳がギラギラと輝いた。


 そして、雄叫びと共に洞窟を出て城へ急いだ。



 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る